マクロスΔはおもしろい?つまらない?


ほぼ全話視聴
漫画は知らん
小説も知らん
劇場版も知らん
端的に、希望してないスープ炒飯
このシリーズで初めて完走した作品
ロボットSF戦争ものとアイドルグループものの力技合体
正直苦手
開き直りの茶番感
敵対勢力のウィンダミア帝国軍と実際に戦うのはΔ小隊で、ワルキューレはそのバフ役、ブースト役なのであれだが、アイドルユニットが実地で歌って、そこで実戦が繰り広げられる点でシンフォギアのイメージとやや重なる
絵面的に上松範康感
マクロス自体はそこそこ長いシリーズだが、2000年代後半のアイドルビジネス再興、その流れを汲んだ2010年台前半のアイドルユニットアニメの乱立があった故、その流れの延長線上にどうしても映る
製作側は否定してはいるが
世界観としては、地球にあると設定された新統合政府なるものが世界政府的なものとして、銀河系を統治する組織として存在
連邦国家でいうところの連邦政府のようなヘッドクォーター的位置付けなんだろうが、ここに属するはずの政治家、官僚と、彼らの意思決定機関がほぼ全く登場しないので、マクロ的な動きが全く見えない作り
あくまで銀河の端っこの国の独立戦争なので、中央としては些事に過ぎないと見做しているのか、文官不在ゆえ量りかねる
危機意識のレベルが掴めない
一応最後に新統合政府の艦隊が押し寄せはするが、その規模感が、全体の軍事力からしてどの程度なのか、中央文官の切迫描写に乏しいので解りにくい
政治家と役人をほぼ描かない点で水星の魔女と似た、ローカライゼーション演出、学生意識世界観の体
お偉いさん連中はどういう腹づもりか知らんけど、現場はやるべき事はやってます感で押し通す
このシリーズのお決まりは「歌、戦争、三角関係の三要素」との事だが、80年代前半の初代シリーズ考案時の、人型ロボットを駆る戦争アニメ隆盛の渦中で、差別化に逸る気持が捻り出した独特のごった煮作風は、やはり自分には合わなかった
銭ゲバ気質の所産でしかないベタベタな歌謡曲と、戦争のシリアスと、高橋留美子にも多少通じるラブコメ感が、どうやっても自分の中では混じり合わない
初代マクロスもリアルタイムで多少は見たが、小学生からしてもガチャガチャした設定に映り、方向性が見えなかった印象
なのですぐに視聴をやめた記憶
ホビー類は魅力的だったが
同じシリーズなので当然といえば当然だが、今作もゴチャゴチャし過ぎて自分には合わない作風だった
一応、この作品だけでなく、マクロスシリーズ全体もある程度理解しようと、諸々調べてはみた
高千穂遙さんを始めとするスタジオぬえの創設なり、この業界での当時の彼らの一家言あるSF観なり、ガンダム隆盛の陰で展開されたSFマインド論争、などなど
そもそもぬえ自体はアニメ屋ではなくSFもの全般を制作、さらにコンサル的な性格もあった事
当初はガンダム制作に与する予定だったが、サンライズとのいざこざで立ち消えになった事
ストーリーのドラマ性を重視した富野由悠季さんのガンダムはSFではないと、高千穂さん他SF界からこき下ろされた事
など、面白いエピソードが多々あったが、ぬえ第一世代ではなくその下の世代である河森正治総監督には、SFである事への執着は、もはや優先度としては低いんだなと、この作品のナンデモアリ感を見て思った次第
物理的にあり得ないことばかりであり、そもそも歌が、しかも歌謡曲が病を予防、軽減させる…
往時にぬえ第一世代の宮武一貴さんが言及していた、絶対的なものを登場させないことが肝要、つまりデウスエクスマキナの否定とも通じるんだろうけど、それが若さ故の意固地な偏執だったのかは判らないが、初代マクロスにも関わった宮武さんが今も在籍して活動しているぬえで、今作のデウスエクスマキナ大安売りのΔも作られた事を思うと、流石にその様式美への執着では客が着いてこないと、時代に即した柔軟さは受け入れたのかなと思わないでもない
とにかく、コンセプトからプロットや演出まで、何から何までC級感が拭えず、悪い意味でホントに日本的だなぁと、そのジャパンローカルごった煮の権化みたいな仕上がりだったのは確か
マクロスは昔からこの、何をやりたいんだか解らない感が強いが、今回はとうとうラブライブにもなってしまったので、迎合もここまで来るとすがすがしいとさえ思う
拉麺と半炒飯のセットなのに、拉麺の丼の中に炒飯まで入れちゃって提供された趣で、せめて別々に食わせてくれ、といった気持ち
素直に、なんでアイドルユニットが歌わにゃならんのか?と思う
しかも歌謡曲ど真ん中
昭和を知らない世代には新鮮なのでは?との製作側の狙いみたいだが、とりあえず昭和を知る世代には恥ずかしさしかない
Z世代もこれを欲してんのかな?と疑問だった
それでも、楽曲のセールスやらライブ興行は申し分ないようなので、この、忌憚なく言えばダサい昭和感が、ガラパゴス嗜好、ドメで充分の価値観にはアジャストしたんだなと、どこか諦観している需要側のおとなしさが気にはなった
そもそも初代も、あんな無理矢理パッチワーク作風だったのに、ビジネス的には良い数字が出たようなので、1つのテーマを真摯にクオリティ高く作るよりも、各要素が煮え切らない中途半端さで、大して旨くもないが、数カ国のアラカルトやらコース料理が楽しめる何でも屋みたいな方が、オトク感があって気楽に視聴できてウケがいいのかな、と
ファミレスみたいだな、と
とはいえ相変わらず、戦闘機のドッグファイトと、そこで展開される有機性のある、うねる軌道のミサイル描写は、スピード感とスローモーションの緩急ある演出も相まって、その独自性と訴求力は素直に認めるところ
美雲の歌パートを担当したJUNNAの歌声は悪くないし、個人的には錆喰いビスコのOPなど彼女に合っていて上手いなと思ったが、今作の平素パートの小清水亜美の声と比べると、やや声質に違いがあり過ぎるかな、とは感じる
演出が、ミュージカルのように会話劇から急に歌唱パートへと移行したりするので、余計にそのギャップが目立った
まぁ彼女ありきでの企画でもあったんだろうが
フレイア演じた鈴木みのりも、演技も歌も悪くなかった
キャラのおのぼりさん風情が抜けない所も良い演出だったかと思う
序盤のヒステリック感は?だったが、ミラージュの不器用で実直な造形も悪くなかった
キャラクター設定はそれなりに仕上がっていたけど、いかんせん文芸要素の拙さやガバ設定のやっつけ感、人物相関の掘り下げ不足で、活かされなかった印象
特にキースとロイドの乖離に至る説得力が不足
一瞬と永遠という価値基準の違いとか、流石に軍幹部や宰相としては余りに狂言綺語に過ぎる
そもそもケイオス自体が星間複合企業体との事だが、フォールド技術関連事業を祖業に、創業10年ほどで銀河系全域での事業展開が可能となったのなら、おそらく頻繁なM&Aだったんだろうけど、そのコングロマリット化の過程で獲得した一事業として、民間軍事会社を持つ事が許されるのか疑問ではある
重工業部門での軍需品生産あたりと同列に考えていいのかな、と
他国の機密に触れ易いし、その情報源を他事業で活かす、株でいうインサイダー取引のような体で、市場動向を先読みして仕掛けるチャンスに恵まれ、同業者にとっては公正な競争とならない
現実世界でも合法とも違法とも言えず、曖昧なままに定義を棚上げし続けているグレーゾーンな組織だし
これも、他に存在するはずの他国の国軍や新統合政府軍の内実を示唆する補助線が全く引かれないから、銀河系全体でケイオスに頼らざるを得ないオフィシャルな軍の機能不全が掴めず、フワフワした印象しかない
第一、一惑星の住民を滅ぼす程の脅威ある流行病に有効な、現実世界のワクチンや治療薬と同等の価値を有する「アイドル公演」というシムテムを、一民間企業が独占し続け、ピザ屋の出前みたいに自治体から要請を受けて、うちの星に来てくれって言われりゃ赴いてライブし続けているこの世界の中央政府のポンコツぶりって
本来ならケイオスの中でもワルキューレの位置付けは、病理研究者有志のNPO、NGO、もしくは存在するならば国連的な組織のWHO辺りに属しているのでは?
Δ 小隊は国連軍の特務担当としてワルキューレ属するWHO訪問団に随行、護衛し、現地でウィンダミアとの有事となったならば共闘となるのが妥当かな、と
そんな神がかった能力の持ち主達ならば、いつどの国の情報機関員に拉致されてもおかしくないので
そんな他国の、利益独占を謀る下心描写も皆無だった
そもそもがトンデモ設定とはいえ、そんな形でのフレイアとハヤテのボーイミーツガールの方がロマンティックではある
まぁこれだとガンダム的だから嫌なんだろうけど
本社本店の所在地も有耶無耶、一営利企業なのに分不相応な軍事力、各国の機密にも目敏い、と、アークナイツのロドスアイランドみたいな性格
構成員がそもそも軍人崩れ、アイドル崩れなんかのならず者連中だし、胡散臭い海援隊みたいな性格の集団にしたかったのかもしれんが
最後は、銀河系全域で彼我の境なく同一となるか否かという、ものすごく悪い意味で文系的な、言葉遊びの子供騙し感
食い飽きて見るのも嫌な精神世界演出
さらに全裸
あまつさえ、そこでねるとんの告白タイムって…
ホントにジャパニメーション的な終局演出
他、散々ネットで叩かれているが、レディMの正体やら戦局の趨勢やらの示唆も皆無で、無責任な投げっぱでバタバタとまとめ上げた終盤の強引さ