韓国で過熱する「身長」ビジネス 学歴・職業と並ぶ指標に? うそや過大広告が蔓延 健康被害の報告も
美容大国で知られる韓国。いま、若者や子どもを持つ保護者の間で熱視線を浴びているのが「身長」です。過熱する身長ビジネスを取材しました。
上からつるされたベルトを装着した女の子。マシーンの上をもくもくと歩きます。
キネス成長クリニック 職員
「重力によって人が押されるのですが、これは重力と反対の作用で、上から引っ張ってくれるんです」
ソウルの成長クリニック。身長を伸ばすための運動をサポートしています。
成長クリニックに通う中学1年生
「ここに通う前は背はほとんど伸びなかったけど、ここに通いながら1.5センチ以上伸びた」
韓国ではいま、こうした「成長」や「高身長」と名前が付いたクリニックや運動施設が増えています。
ソウル市民
「就職活動の面接でも、背の高い人が好まれる」
17歳の男性の平均身長をみてみると、日本は50年前からほぼ横ばいですが、韓国は右肩上がりで伸び続け、7センチ以上伸びています。
学歴、職業などの「スペック」や、美容整形をはじめとする「見た目」を特に気にする韓国。いまや身長もその一つとなっているのです。
こちらのクリニックは成長を促すホルモン注射を扱っています。
「(Q.何センチまで大きくなりたい?)170センチ!」
パルンキウムクリニック 院長
「1日100人の患者、1か月で2000人くらい診察しています」
このクリニックに通う小学5年生の女の子です。成長自体に問題はありませんが、毎日、自宅でホルモン注射を打っています。費用は月に6万円から7万円と高額ですが、父親は子どもへの投資だと言います。
父親
「私も幼いころ背が低かったので、思春期とかはどうしても背の高さと自信が比例してしまう。(Q.副作用は?)全然ありません」
小児科医は効果は人それぞれで、医師による正確な診断が必要と指摘します。
大韓小児青少年病院協会 会長
「医学的な検査などをせずに受けると、末端肥大症や骨の変形など深刻な合併症を引き起こす可能性もあります」
ビジネスの過熱で、うそや過大な広告が蔓延するなどの問題や成長ホルモン注射による健康被害の報告も増えていて、国の研究機関は「正しい使用のために国として議論していく必要がある」としています。