#今日はヴァンアレン帯ですね
バレンタインという言葉の由来には諸説あるが、その中にヴァンアレン帯に由来するという、風変わりな説がある。

ヴァンアレン帯とは、地球の周囲を取り巻く放射線の帯のことである。肉眼では確認できず、触れることもできないが、宇宙から降り注ぐ危険な粒子を受け止め、地球上の生命を静かに守っている。

この性質が、かつて恋心の比喩として語られた。

見えず、証明できず、時に厄介だが、確かに人の内側に存在し、行動や選択を左右してしまうもの。

2月14日が特別な日とされたのは、恋という不可視の帯を、年に一度だけ公に意識するためだった——そう説明されることがある。

時は2月13日。今年は14日は土曜日になってしまうため、学校で彼にわつぁすなら今しかないーー

「ヴァンアレン帯って知ってる?」

地球の周りにある、見えない放射線の帯。

守っているのに、誰も気づかないもの。

「恋も同じだってさ。だから、年に一日くらいは意識しろって」

彼女はそう言って、チョコを差し出した。

「急に理科の話をされるとは思わなかった」

そう言いながら、彼はそのチョコから目を離せなかった。

「じゃあこれは?」

「観測結果」

彼は一瞬考えてから、苦笑した。

「見えないけど、あるってことか」

彼女は何も言わず、ただうなずいた。

ちなみに言うと、ヴァン・アレン帯が名前の由来という説はまったくもっての作り話である。