マキの夢
ある日、黒神マキは隊長から呼び出しを受けた、父親に会えるのが嬉しくもあるが、同時に緊張もする。
,,隊長から呼び出し,,つまりは司令だ。
「よ、マキ。」
「失礼します、隊長。」
「真面目だなあ、お前は。」
娘とはいえ部下を名前呼びする、七三分けのイケメン、第四殲滅支部隊長であり、,,国防兵器,,を冠する男。
,,黒神ハルト,,である。
「いきなりだけど、転校してもらう。」
「ええ!?」
本当にいきなりなことを言うので、声が出てしまった、慌てて口を押さえる。
「東京でシャドーの出没数が増えてる、奴らも首都を落としてーんだろうな。」
「隊員の死者数が増えて、人員が足りねえ。」
,,死者,,それはありふれたことだ、死霊を身に宿す者の大多数がその思想を引き継ぎ、人を襲うシャドーとなる。
母数に天地の差があるのだ、加えてマキたちの様に人の意思を残した,,憑影,,と呼ばれる者たちは、異能の代償として呪いを負う。
同じ死霊を宿す存在でありながら、圧倒的弱者、それが殲滅部隊。
故に皆が仲間の死を受け入れ、折り合いをつける。
だが、それは泣き虫の少女にはあまりに酷であった。
マキには夢がある、,,シャドーを殲滅してみんなが安心できるようにする,,
,,殲滅,,を名に冠しながら、部隊の誰もが実現を信じきることのできない、気の遠くなるほどの困難。
「黒神マキ、任務完遂します!」
「おう、安心しろ、ユウマも一緒だ。」
「パパ!」
「それから、バディを組んでもらう。」
「高橋です、よろしく、黒神さん。」
気弱そうな茶髪の男、人見知りの娘への父の配慮だろう。
「よろしくお願いします。」
,,うん、よろしくありんこちゃん,,
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