おねえちゃん
暖かい、誰かが手を握ってくれている。その誰かと一緒にいたい。少女はそう思った。
「ん、行かないで」少女は目を開け、そう言った。意識が戻ったのだ。
「大丈夫、どこにもいかいないよ、おうち帰ろうね。」
ミヤがそういうと少女が聞き返した。
病院じゃなくて?もう一人で寝てなくていいの?」
『うん、君はもう大丈夫、眠くなったら僕が一緒に寝てあげる。」
少女は嬉しかった。今まで誰も一緒に寝てなどくれなかったし、病院のベッドはすごく怖かったからだ。
入院する時、先生が言ったことを思い出した。
「良いですか、今日から君は入院しなければなりません。今から病院に行きます、魔法の練習もなくなります。
「なんで?私がいけないことしたから?」
「君が知る必要はありません、ついてきなさい。」
先生についていくと、怖い顔をした大人がたくさん居た、先生はその人たちに、『ではこれよりプロトコルに基づき289の収容を行います。」と言った。大人たちがベットに乗せる、助けを求めるが先生は無視し、「投薬開始」と言った。
それからのことはよくわからない、注射をされて眠くなったのと、先生のすごく怖い目を覚えているだけだ。
少女の周りの大人はいつも怖い目をしていた、けれどこのお姉ちゃんはすごく優しい顔で笑っていた。
『抱っこしてあげる、かえったらご飯食べようね。」
お姉ちゃんが言った、少女はご飯があまり好きではなかった、先生がいつもジロジロ見てきたからだ。
けれどお姉ちゃんとのご飯楽しいだろうなと思った、少女はお姉ちゃんに抱かれて、また眠ってしまった。
ユイトは頭が上手く回らなかった、妹のミヤが女の子を抱いてずぶ濡れで帰ってきたからだ。
しかも瞬間移動のように突然現れ、体が消えかかっていたというのだ、正直信じられないが、ミヤがユイトに嘘をついたことはないし、事実として女の子はここにいる。ならば倒れていた子供を助けた妹をまずは褒めてやらねばならない。
「兄ちゃん全然ついてけねえんだけど、とりあえずよく頑張ったな。」
「ううん、当然だよ、心配だもん」
「お前はすげえやつだな」
『えへへ』
「おーい、大丈夫か?」
「ちょっと、無理やり起こさないで」
「うっ悪い」
「お布団持ってきて」
「はい」
布団を敷いて子供を寝かせる、ミヤが近くに座っている。
「うう、やだあ、先生怖いよお」
子供が唸れているようだ、ミヤが優しく声をかける。
「よしよし、大丈夫だよ、怖い先生はもういないからね」
しばらく頭を撫でてやると、落ち着いたようだった。しかしミヤは起きるまで少女のそばにいた。
少女が起きてからは忙しかった、みやが一緒に風呂に入り、その間に俺が飯を作る。
女子を着替えさせたあと3人でカレーを食べる、異変はその時に起こった。少女が「にんじん嫌い」というとにんじんが消えたのだ。
俺は固まってしまったが、ミヤの対応は早かった。
「ダメでしょ、好き嫌いしたら」
「ごめんなさい」
にんじんが戻り、少女が少しずつ食べる
「よくできました、ご褒美にプリン食べようね」
「やった!」
肝が座った姉ちゃんだな、ユイトは思った。
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