かんなぎ作小説イッキ見!(第八話〜第十話)
大事そうなこと、立ち回りで気をつけること、ポーションを使うタイミングなどその他諸々のことをウィンドウに打ち込んでいく。
「多分、ボス戦は取り巻きがいるから俺達2人はその処理をやることになるだろうから、そのテンプレを教えておく」
「・・・」
コクリと頷く。
「レイピア系はモンスターの攻撃を弾くことをするのが苦手だから、モンスターの攻撃を弾いて仰け反り状態にするからその隙に君のレイピアでソードスキル攻撃してほしい」
「弱点は俺が見つける」
「わかった・・・」
色々話しているとレストランにある時計が11:30を示していることに気づく。
「少し早いがいくか」
集会所では30分前にもかかわらずシャルロットをはじめ色々なプレイヤーが集まっていた。
シャルロットが周りを見て全員が集まっていることを確認し、口を開き始める。
「よーし、全員集まってくれたかな‼︎それじゃあボス戦の担当振り分けするよ!」
話を聞いた限り、A・B隊がボスメイン火力C・D隊がサブ火力E・F隊がA・B・C・D隊の状態により助けに入る
G +おまけ2人隊が取り巻き処理
という振り分けになり
「じゃあこうゆう振り分けで‼︎それじゃあ行くぞ‼︎」
「おー!」
と全員の声が返ってくる。
全員で迷宮塔へ続くフィールドを進み始める。
俺と相方2人以外全員何かしらの会話をしているうちに
迷宮塔1階の入り口に着いていた。
1、2階は少々危ない時があったが、シャルロットの的確な指示で持ち直し何とか進むことが出来一時間程で3階まで進めた。
3階はボス部屋があるせいかシャルロット達のパーティーから貰ったマッピングデータはかなり1,2階と比べ少なかった。
「やっと着いたな。ここで休憩だ!」
そんなシャルロットの声で前線組のプレイヤー達はポーションを飲むなりして休憩し始める。
少し緊張感が無さすぎる気がする。今回のボス戦嫌な感じがする。
「もう私から言うことは一つのみだ!全員生き残って勝とうぜ!」
ギギギ・・・
プレイヤーより何十倍も大きい門なのにも関わらず女性プレイヤー1人の力だけでも開き始める。
「全員突撃ー!」
一斉にボス部屋になだれのように入り始める。
A〜G +おまけ2人の全ての隊が自分たちの位置につく。
重く暗い雰囲気だった部屋が一気に明るくなり、ついにボスが俺たちに姿を表す。
「ザ・ファースト・アングゥィシュ」(the first anguish)
というのがボスの名前らしい、最初の苦痛ってところか。
名前のわりに計4本ある2本目で減らすことができた。
ボスの武器が大剣と巨大な盾しかないため、タンクでタゲ取りしてやれば安定して削れるのは当たり前か。
やっぱり取り巻きはいて俺と相方はまだ一回もボスに攻撃できていない。
しかし,俺がボス戦前に感じた嫌な感じは何だったんだろうか。
2本ピッタリまでボスのHPゲージを削り切った時その嫌な感じが当たった。
俺はこのゲームが開始する前にストーリーをガン無視して迷宮塔にだけ集中して攻略していたのだ。
1人で戦っていた時からは名前が変わっていたが、大剣と盾という武器で使ってくるソードスキルも変わっていなかったが残り2本のHPバーになると大剣と盾を捨て両手斧に持ち帰るというパターンになる。
しかし、今見ている武器はなんだ・・・
((斧じゃなくて抜刀剣!!))
「全員後ろに飛べ!!!!」
取り巻き処理している俺の声はボスを攻撃しているA・B・C・D隊の誰にも聞こえない。
抜刀剣専用範囲ソードスキル「円月」によりA・B・C・D隊の全員のHPバーが真っ赤に染まり始める。
中には全て削り取られたプレーヤーもいる。
「お。おいおかしいぞ!HPが0になったのにアバターが消えない!リスポーンできない!返事しろ!」
倒れたプレイヤー達から返事が返ってこない。
「そ、そうだ・・・あの日、1ヶ月前このゲームは現実に変わったんだよ!」
「ってことはこのゲームで死んだら、まだ確証はないがこのゲームから永久退場するってことなのか!?」
前線組の半数が皆、体が動かなくなってしまっている。
持っている武器を手から離していまう人もいる。
その中にリーダーシャルロットの姿もある。
「わ、私のせいだ・・・気軽に攻略しようと提案したからだ・・・」
シャルロットの自分を非難する言葉が聞こえてくる。
((このままじゃまずい、全員やられてしまう))
つい棒立ちになってしまう。
「私もやる・・・だから安心して」
相方が肩を持ちながら励ましの言葉をかけてくれる。
もう一度俺は剣を落ち直す。
「聞け!今から俺が指示する。A・B・C・D隊は後ろに下がってポーション飲め!E・F・G隊タンクやれるやつはタゲ取りしてくれ!」
誰も動かない。こうなれば俺がタンクをするしかない。
「俺がタゲ取りするから早くしろ!」
ボスが俺と相方の存在に気づき睨みつけ巨大な咆哮をあげこっちに向かってくる。
抜刀剣専用突進ソードスキル「繊月」のモーションに入り始める。
これを片手剣ソードスキルで弾くには「繊月」より火力の出るソードスキルかボスの抜刀剣の中心ピッタリ当てなくてはいけない。
今のレベルの俺にできるのは後者しかない、前者はボスのパワーパラメーター補正で並のソードスキルではできない。
「うおおぉぉお!」
片手剣突進ソードスキル「ライク・ストゥ」
今俺が使える突進ソードスキルの中で1番出だしが早い技だ。今はこれにかけるしかない。
((中心ドンピシャ!))
ガン!!剣と刀が当たる鈍い音がする。
「今だ!!」
抜刀剣と当たった振動で体が動かない。
相方に「攻撃してもらうしかない。
「セアアッ!」
三連撃ソードスキル「スリー・アクセレラシオン」
一連撃目から三連撃目にかけて突きのスピードが加速する技だ。
ボスの横腹に命中し、ボスのHPバーの2本目がミリ単位で減少していく。
相方の攻撃によるノックバックから回復し
抜刀剣ソードスキル「更待」
のモーションに入る。
俺は今「ライク・ストゥ」を使えない,それ以外のソードスキルで弾くしかない
片手剣重単発ソードスキル「タルデ・グラウィス」
このソードスキルは重さはあるものの出始めがかなり遅くボスのモーションを見てからじゃ間に合わない。
俺はほぼ自分の直感だけで「タルデ・グラウィス」のモーションに入る、これしか「更待」を弾けない。
「おぉぉっっ!」
ガキン!!再び鈍い音がする。
ピシッ。何かにヒビが入る音がする。だが今は気にしていられない。
「もう一度頼む!」
相方の「スリー・アクセレラシオン」がボスに打ち込まれる。
「グアアッッ」
ボスから重く低い声が聞こえる。
今の所2回とも両方ボスのソードスキルを相殺できているが、これが何度も続くとは思わない。
おそらく、あと数回で失敗するだろう。
「おい!お前ら回復終わったか?」
「今、半分くらいのプレイヤーが終わった」
「前張れるやつはこい!」
A・D隊の中から少しずつプレイヤーが戦闘に帰ってくる。
これで俺と相方は回復できる。全部弾いていたからといって無傷では済まなかったのだ。
そして今飲んでいるポーションも一気に回復できるものではないので後ろに下がり回復し切るまで待つしかないのだ。
そしてA・B・C・D隊がボスにE・F隊が再ポップした取り巻きを攻撃する。
危ない中ボスのラストのHPバーが赤色に染めた瞬間、ボスのアルゴリズムが変わり狂乱状態に入る。
「一旦離れろー!」
シャルロットの指示が飛ぶ。
全員、ボス部屋の壁に近づく。
((今やらないとまた同じことになる))
「相方さん、いけるか?」
「私の相方って名前じゃない・・・私の名前はイスズ」
「さっきと同じようにボスの攻撃弾くから・・・」
言っている途中で食い気味に返事がが帰ってくる。
「私のレイピアで攻撃してくれ。でしょ?」
「あぁ、そうだ。行くぞ!」
平行で全く同じスピードで走り始める。
そんな俺と相方とさっき全員を守っていた時と同じように睨みつけ咆哮をあげ再び「更待」のモーションに入る。
俺はそのモーションを完全に先読みしていた。
さっきも俺を救ってくれた「タルデ・グラウィス」のモーションにとる。
「おおぉぉ!」
完璧な抜刀剣の中心を捉えた俺の剣は今までより一段とボスを飛ばした。
そこにイスズのソードスキルを打ち込んだが、あと一ミリだけ残ってしまう。
ここで俺がやることは一つだ。
突進ソードスキル「ライク・ストゥ」
「と・ど・けぇぇえええ!!!!!」
ザシュッ。
気持ちのいい音がし、ボスが虹色の光となり消滅する。
「うおおお!!」
ボスを撃破し、部屋が入る前の見た目に戻る。
全員から歓喜の声が出る。
ただし一部のプレイヤーは俺を睨んでいる。そしてプレイヤーの中の1人が今までの歓喜とは違う怨念の声が聞こえてくる。
「なんで、プレイヤー達を見殺しにしたんだよ!お前はボスの技を全部防げた、パターンが変わるのをわかってた!」
カランという、プレイヤーが叫んでくる。
「そうだよな・・・」「確かに・・・」などの声が少しずつ聞こえてくる。
死んでしまったプレイヤーが思っていたより居るらしく俺に死ね、ここで土下座しろ!などの怒りの声も聞こえてくる。
「あなた達ねぇ!」
相方のイスズは俺を守ろうと反論しようとしてくれている。
だがそんなことをしてはイスズまで俺と同じように罵倒されてしまう、前線組にいられなくなる。
「もういい、イスズ俺が悪いんだよ・・・」
俺はもう皆の前で自分の剣で首を切り差し出す覚悟はできている。
その前にボスの攻撃がわかった理由を話す。
「俺はこのゲームが始まる前、俺はストーリーのことを全て無視して迷宮塔だけを攻略し続け、一週間で9階まで登ったんだ」
1人で9階!? どうしたらそんなことができるんだ!?
「7階で嫌というほど抜刀剣を使うモンスターにリンチされまくった、俺は結局7階に1番時間をかけ、抜刀剣のソードスキルを死ぬ気で暗記した」
俺の言葉を聞かずカランは再び声を出す。
「殺す!お前だけは殺す!」
剣を持ち俺の方に向かってくる。
「やめないか!今殺したら後戻りできなくなる可能性があるんだぞ!」
まさかのシャルロットが俺の前に立ちカランを説得しようとしている。
カランが止まる。
「あぁ・・・その通りだな 今 殺しても意味ないか」
なんか引っかかる所はあったものの何とか収まり4階へと進む空間転移門に続々とプレイヤー達が足を進める。
〈後書き〉
これで大まかな始まり方はわかったと思います!
是非是非これからも私の小説読んでほしいです。
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それではかんなぎ作オリジナル小説で会いましょう!