#2 もう一度あの声で
「決まってるじゃないですか、
私に歌を歌わせてください____!」
「は?えっ?」
俺に歌なんて無理だ。向いていない。
「向いていないなんてことないですよ!」
「んなっ…」
気持ちが読まれていた…?
いや、今は断らないと…
「ごめん…俺には無理なんだ」
「どうしてですか?」
このままミクに俺の過去の話をしていいだろうか。
幻滅しないだろうか。
同情してくれるだろうか。
「私はマスターの味方ですよっ!」
「ああ、俺は__」
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【1年前_】
「佐奈、」
俺には恋人がいた。恋人と言っても余命があと3日しかないような、
いつ消えてもおかしくないような恋人だった。
いつか花束のように消えてしまっても、もうそれはそれでいい。
今を生きようと思っていた。
もう佐奈の足は動かない、車椅子だ。
「まーた暗いこと考えてるんでしょう!?
音蓮には暗いことなんて似合わないよーんっ」
「い、いや…別に…」
「そうだ、音蓮。明日ね、初音ミクちゃんのイベントがあるの!」
「え、!?そうなのか…!?」
「うん!私行きたい!」
「そっ…か行こう」
「やったーっ、コスプレして行こうかなあっ」
「いいんじゃないか??」
佐奈の笑顔が見れるならそれでよかった。
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【次の日】
「ねえねえ早く早く!」
「ちょっと待っ____」
ドンッ
嫌な音がした。振り返ると____
佐奈が倒れていた
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