学校1の美少女がなんの取り柄もない俺に一目惚れ!? 最終話 真相
大人でもあるまいし、酔っているなんて事はないだろう。
「どうした?どっか悪いのか?」
絶対にどこか悪い、彼女はおそらく大丈夫と言うだろうが。
「うん、悪い。」
やっぱりそう言ったか……いや、待てよ?今、悪いって言ったか?
「悪いのか?」
「うん。」
たしかに優梨奈の顔は赤い、きっとそうだろう。
いや、絶対熱のせいではないが、それだけは考えたくない。
強引に熱のせいにしてやる。
「誰のせいだと思う?」
ん?こいつ言う気じゃねぇだろうな。
「だれのせい、だ?」
優梨奈は赤くなった顔を微笑ませて言った。
「光一郎君のs」
「ああ、やめろやめろ!あぁぁぁ!」
なんとか引き留める。
こいつ熱のせいで正気じゃねぇな。
引き留める時、俺の手と優梨奈の手が当たる、というか、俺が優梨奈の手をしっかり握る。
「あっ…」
気付いて手を離すも、不幸にもその時に優梨奈は正気を取り戻してしまった。
顔を先程の2倍ほどの赤さに染めて。
「……ッ…………」
優梨奈がじっと手を見つめる。
「…何してたの?ここで。」
うん?なんか誤解してね?
「え…何も……」
本当に何もしていないのだから仕方ない。
「嘘!何かしようとしたでしょ!」
やべぇ。あいつ何にも覚えてねぇな。
自分であんなにやってきたくせに、目を覚まして被害者に怒るとか怖いわ。
駅であれだけ騒いだのだから、案の定、騒ぎを聞き付けた駅員がやってきてしまった。
その後、駅員と優梨奈たちへの誤解をとくのにすこし時間がかかった。
優梨奈を駅のベンチに慎重に座らせ、落ち着かせる。
仕返しに、先程優梨奈が言っていたことも言ってやった。
自業自得だ。
存分に話した内容を聞かせると、優梨奈の顔はどんどん赤くなる。
手を顔に絡ませて、顔を隠すも、手と顔の色には違いがありすぎて、すぐ分かってしまう。
「なんで、そんなこと、言ったの!?」
「こっちが聞きてぇよ。」
「でもな、ただ1つ分かったのはな…」
優梨奈が指の間から顔を覗かせる。
なに?とでも言いたげだった。
「お前が俺のことを好きだってことだな。」
こんなこと、俺でも信じられない、だが、根拠となる言動がいくつも見られる。
今もそうだ。
俺がそう言った瞬間、優梨奈はさっきと同じくらい顔を赤くした。
これは確定だ。
「ち、違うし、別、に、好き、じゃ、ない。ことも、ないけど…。」
そんな優梨奈のツンデレに少しドキッとした。
「で、でも、気付いてくれて、あ、ありがと。」
そう言って優梨奈は照れ臭そうに笑う。
紫色の髪を風になびかせて。
〜完〜