ELGAMA #22 アリゴ編 #1
「暑いな…」
エリントがそう言うと同時に、レイスの首筋から汗が流れた。
森は太陽の光があまり通らなく、薄暗いが、同時に風も通らないため、気温は高くなってきている。
「さっきはそんなに暑くなかったよな?」
暑さはエリントの質問(というより問いかけ)に答えられないほどにレイスの体力を奪っていった。
「私は別に暑くないけど…」
ミアの言葉にレイスとエリントは驚愕した。
「おいおいお前、どんな体の仕組みだったらここが熱くないんだよ。氷か。」
「氷だったら暑さで溶けちゃうじゃない。」
「だぁぁ!!そうじゃねえ!それだけ冷てえってことだよ!」
「大きい声出さないでよ。」
「お前が口答えするからだろ!」
突如始まった口喧嘩に、レイスは耳を塞ぐことしかできなかった。
「ちょっと、余計暑くなるからやめてよ。」
精一杯そう叫ぶも、二人は耳を傾けなかった。
レイスがどうしようか困っていると、二人とは違う大声が聞こえた。
「うるせぇ!」
そして、ビュッと言う音と共に何かがエリントとミアの方に向かって飛んでいった。
間一髪、二人はその何かをかわした。
そして、二人の間を通り過ぎた物を見た。
それは鋭い斧だった。
エリントもミアも呆然としていた。
だがすぐに我に返ると、エリントは声を張り上げた。
「誰だ?」
木々の影から姿を現したのは、とても斧を投げてきたとは思えない、小柄な老人だった。
「私はフェルグ、森の番人だ。」
隣でエリントが身構えるのが分かった。
「わしと戦おうとでも思っているのか?」
フェルグがレイスたちを鼻で笑って言った。
「売られた喧嘩は買う主義だからな。」
する必要のなかった戦闘が始まってしまった。
エリントは気付いているのだろうか?
________まともに戦えるのがエリントとレイスの二人だけだということに。
22話↓
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