ELGAMA #32 アリゴ編 #11
「パワー差をどうにかする、か…イマイチどうしたらいいか分かんねえな。」
エリントが明後日の方向を見て言った。
頬杖をつき、考え込んでいる。
空の明るさはだんだん落ちていき、今にも太陽が身を隠しそうだった。
そして、三人は重大なことにやっと気付いた。
「おっと、もうこんなに暗いのか、誰かテントでも持ってないか。」
「そんなの持ってるわけがないでしょ。」
「えぇ!それは困るぜ!寝床がねえじゃねえか。」
そう、寝るための準備をしていなかったのだ。
「そういうエリントも背負ってるカバン開けてみてよ、ガラクタの中にあるんじゃないの?」
「おまっ、なんでガラクタが入ってるの分かるんだよ。待てよ、探すから…」
エリントが驚きの声をあげながらカバンの底を手で探った。
しばらく手を動かしていると、エリントはやっと手を引き出した。
その手には折り目が至る所についた布がしっかりと握られていた。
「…別にいいんだけど、それ、いつから入ってたの?」
「ん?これか?多分だけど、お前とルガンデで戦った時にはもう入ってたと思うぜ。」
「ずっと前じゃん!使わなかったの?」
________そういえば、なんとなく匂いがするような…
「俺、基本的に野宿は嫌いでさ、ずっと拠点で待機して、誰かが祭壇に近付いたらワープ、みたいにしてたからなあ。持たせてくれた真帝王には悪いけど。」
「でも、寝床があるならいいや。明日に備えて早く寝よう。」
レイスが寝袋(だと思われる)を掴もうとすると、一瞬でエリントが先に掴み取り、一瞬で開いて、一瞬で中に入ってしまった。
「ふっ…」
レイスが困惑していると、エリントはドヤ顔をして言った。
「悪いな、レイス!この寝袋、1人用なんだよ〜。」
エリントは、キツネのような顔をして言った。
このセリフ、どうもどこかで聞いたようでならない。
「ちょっとエリント、そりゃないよ。」
「いやこれガチだから、マジだから、大真面目に言ってるから、1人用だから!」
エリントがムキになって言う。
そこまで強気になるところなのだろうか。
「二人でも入るって、入れてよ。」
「やだね、お断りだ。ぼくちゃんの寝袋には誰一人入れねえんだからな!」
「ぼくちゃんって誰だよ!」
エリントは寝袋を取られまいとばかりに鷲掴みにした。
どうやら本当に譲る気はなさそうだ。
一体どうしたものか。
「ねえ、入れてよ。私たちが寝れなかったら戦えないよ?戦力不足になっちゃうよ。」
ミアも説得に参加する。
するとエリントは少し考える素振りを見せた。
「それは、地味に困るな。」
「地味なんかいっ。」
エリントは、レイスの突っ込みを無視して、体をゴソゴソと端に動かした。
「ミア、先にどうぞ。」
「ありがとう。」
エリントの横にミアが寝転がった。
「イビキかかないでよね。」
「黙れっ。」
ミアが意地悪く言うと、エリントはボソッと一言言って反対を向いた。
レイスは寝袋に残った小さな隙間に入り込んだ。
何もないただの地面に寝袋を置いて寝転がっているだけなので、ゴツゴツした地面が背中に当たるのを感じた。
狭いため、寝返りの一つもできない。
できないことはないが、それでは二人に迷惑だ。
二人が眠りについたとき、レイスは「しまった」と思った。
ミアはレイスに背を向ける形で寝ているため、どうしても髪の毛が当たってしまう。
サラサラとした髪が顔を優しくくすぐり、邪魔くさい。
レイスは寝返りしたい気持ちをグッと堪え、なんとか眠りにつくことができた。
次話↓
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