青くて赤い

3 2023/03/24 18:22

今日も聞こえる。人々の歓声。

そこを見れば、必ず彼がいる

山瀬葵(やませあおい)彼は人気者なのだ。

その理由は沢山あるが、まず学年首席、生徒会、金持ち、運動神経抜群、

そしてイケメンなのである。白い肌にうっすら青みかかった目。表情を何一つとして変えない冷たい雰囲気をまとっている

女子に人気で、いつも騒がれているんだ

そんな彼に私はそこまで興味がなかった。私は自分のことに精一杯なのだ

ある日、私が廊下を歩いていた頃

なにやら騒がしい声が聞こえた。やはりそこには彼がいたのだ

わたしは彼を避けるように横通った。すると、ドンッと肩に彼が当たってしまったのだ

わたしは咄嗟に「あ…ごめんなさい」と言う。

彼の冷たい目が私に刺さる。わたしの心臓がドクンと音をならす

ゆらりと横切る彼の目が青いホタルのように思えた

彼の周りのギャラリーたちがしんと静まり返っていた

私はそこから離れ、トイレへ駆け込んだ

ひといきつくと、私は冷静になった。瞬時に彼への怒りがうまれた。「なんなのあいつ…」

ぶつかっただけであんな睨まなくてもいいのに

そんな風に思いながら私は教室へ戻った。

ーーーーーーーーーーーーーーーー……

下校。

私は下駄箱のあたりでわすれものを思いだして、教室へ戻った。

「ああ、あったあった」そういって鞄の中に入れた

ふと窓を覗くと、夕焼けが綺麗に見えた。

窓をすこし開けると、風が入ってきて気持ちよかった

そのとき、私は直感的に屋上にいきたくなった

久しぶりに、行ってみようかな

昔はおべんとうを食べるためによく屋上で食べていたのだ

階段をのぼる音が響く

キィッと音をならして扉を開けると、影が見えた。

先約がいたのか

誰だろう。こんな時間に

そう思ってその人の顔をみた。

すると、それは彼だったのだ。そう、山瀬葵。

彼は儚げな表情で空を見上げていた

そんな彼を見ていると、女子に騒がれる理由もわかる気がした

すると彼が「!!…誰だ?」とこちらに気がついた

やば…どうしよう。私は必死に考えた

「おい、誰だって聞いてるだろ」彼がいう

「おっ、お弁当が食べたくて!!!!」

その言葉がわたしの口からこぼれおちてきた

瞬間、冷静になった。いや、お弁当って…今夕方だって言うのに

彼はビックリした顔をして、

「…この時間に?」

と訪ねてきた

私は、誤解をといた「あ、すみません間違えました。風がきもちよさそうだったので」

「…そうか」

彼はそうつぶやいて、くるりとこちらを向いた

「邪魔しちゃ悪いからな。俺は帰るよ」

彼が扉のほうへと歩いていく

すると私は、彼の右肩についてるチョークの粉に気がついた

「肩よごれてますよ」と言って肩をはらおうとしたそのとき

彼がビクッと肩を動かした

「わっ、」びっくりして、声がでる

どうしたのだろうか?

彼はこちらに振り返り、「触るな!!!!」と私の手をふりはらった

その時、はじめて私は彼の顔を見たのだと思う

あの冷たく刺してくる目は、澄んだビー玉のようで、白いあの肌は、真っ赤な苺のようで

今にも泣きそうな顔で、彼の瞳は揺れた

その瞬間

「可愛い。」

勝手に言葉が口から漏れた。

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