赤く染まる水平線
水面が、絵の具みたいになっている。
凹んだコンクリートに溜まっている水たまりが、夕焼け色に染まっているのだ。
私は、水たまりに足を入れてみた。長靴じゃないので、靴の中に水がちょっと入ってきた。
跳ねた水は透明で、絵の具のように染まっているわけではなかった。
「帰るよ。」
背後から、母の声が聞こえた。
私は怒られるのではないだろうか、そう思っていたが、母は優しく微笑み、手を差し出していた。
少し恥ずかしかったが、私は母の手を取った。
水面が、絵の具みたいになっている。
海の中は、赤色に染まっていた。
その上に、私は立っている。
いや、立っていた。
「…ねえ、秋雲が沈む所も、誰か描いて…くれないかな……」
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