【小説総選挙】誰にも伝わらない世界線。『 約束の天気雨、吸えなくなった生 』
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息が吸えなくなった。
「…っ、」
ごめん。やっぱり僕は、君がいないと。
…君がいないと、僕はもう息すら吸えない。
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「君ってほんとに泣き虫だよねぇ」
いつだったか、君に言われたことがある。
君は泣き虫で弱虫でダサくて何にもできないんだと、そこまで言うかと言いたくなるほどに罵られたことがあった。
だけど全て確実に的を得ていて、図星で言い返すこともできなかった。
いや、言い返せないところが弱いんだろうけど。
「仕方ないだろ、生理現象だよ勝手に涙が出るんだ」
「そんなに泣いてるくせに、助けてって言われたことがない」
「言うほどのことじゃないからだ」
「言うほどのことじゃないのに泣いてるの?」
「言うほどのことじゃないのに泣いてるから泣き虫って言ったんだろ?」
君は呆れたように溜息をつく。
「…それもそうだね」
確かその後、急に土砂降りになって。
「ほら君が泣くから、神様も泣いちゃった」
「僕にそんな力があると思うの?」
「思えないな」
「だろ?つまり僕のせいじゃない」
「天気予報は今日一日中快晴だって」
「予報なんだから外れる時もあるよ」
君は空を見上げて、しばらく目を閉じてから僕の方を向いてくすりと笑う。
「びっしょびしょじゃん」
「君が言えることじゃないだろ」
むす、としてそう言い返すと、不意に君がこちらへと手を伸ばす。
もう涙は引いていると言うのに、彼女は涙を拭うみたいに頬を撫でた。
「でもこれで、泣いてるのがバレないね」
「もう泣いてないよ」
「なんでこういう時に泣かないかな」
彼女は僕から目を逸らした。
「…君は不器用だね」
「じゃあ君は器用なの?」
「そう言われると自信がないな」
だけど、と君は続ける。
「だけど、私は君より強いんだよ」
よくわからなかった。
何を言っているのか。どうして笑っているのか。
彼女の言う"強い"の意味が汲み取れなかった。
「約束の日もね、きっと雨が降るんだ」
「今日みたいに、天気予報は一日快晴?」
君は首を縦に振る。
「でもね、きっとその日は予報だって外れないんだよ」
「どういうこと?」
「きっとすぐ分かる」
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その日確かに、空は快晴だった。
ぱらぱらと雨が降る快晴。風が嫌な強さで吹き抜けていた。
俗にいう、天気雨。
どうして彼女にそんなことが分かったのかは未だに分からない。
君に聞く術もない。
ねぇ約束の日になったよ。
僕は会いに来たのに、君は僕に会いに来てはくれなかった。
どうしてなんて聞かない。
分かってる。僕が悪かった。
『私は、君になりたかったの』
いつの日か、君がそんなことを言っていた。
人前でなんでもないことで泣く弱い僕になりたいと。
『これで最後だから、あの時言ったこと訂正させて』
『……うん』
これで最後だから。
今日来ないことだって、本当は分かってた。
『君は強いよ。弱いところも含めて、全部全部強いんだ。』
『…よく分からない。どこが、』
『私ね』
『……うん』
『私ね、君の前でなら強い自分でいられたんだよ』
その言葉の意味が、そのときはよく分からなくて。
「…何が、強い自分だよ、」
僕は何も分からずに手を離した。
離してしまった。
苦しい。
息が出来ない。
1人にしてごめん。
大丈夫、僕らはすぐ会える。
どこにいたって見つけてみせるから。だからもう少しだけ待ってて。
その時までに強くなっておくから。
約束の日、結局晴れていたのは君が笑った少しの間だけで、すぐに真っ黒な雲と土砂降りの雨が2人の姿と声を掻き消した。
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誰にも伝わらない世界線。パート2です!!
https://uranai.nosv.org/u.php/novel/usagi0311/?w=1
占ツクで『誰にも伝わらない世界線。集』も執筆中なので良ければこちらも!!
朝と夕方に急に土砂降りになって全力疾走で家に帰ったら酸欠で倒れかけたので「雨」と「呼吸」の観点で書いてみました(゚∀゚)
歌い手二次創作の小説も占ツクで書いてるんですが……なんかここで公開すんの卑怯では!?と思ったので(?)
教えて欲しい!って方いたらぜひコメントください(*゚▽゚*)
文才ないタイプのうさぎで駄作極まりないけれど!!
単話なので思いついたらまたちょこちょこ立候補したいと思います🥺
道徳とかと同じで正解はないので考察待ってます……💪🥺💪
考察読むの個人的に結構好きなのでお願いします✌️(´・ω・`)
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>>7
豪雨に襲われて思いついたから確かに六月っぽいかも(゚∀゚)
文才は断じてないよ(;ω;)デモアリガト