東方催眠狂⑤

5 2024/10/29 15:29

フランは完全に催眠にかかった。

とても楽しそうな表情。

楽しそう過ぎて半ば壊れているようにも見える。

フラン「あははは!すごい!お外だ!私今お外にいるんだ!マリサ!たのしーね!」

魔理沙「あぁ・・・そうだな!」

魔理沙(心の中)「・・・・・・・」

魔理沙は何となく嫌な予感を覚えた。

楽しくなる事はあっても、幻覚を見たことはこれまで一度たりとも無かった。

勿論、魔理沙には、明るい明るい青空は見えない。

むしろそれとは真逆の、暗い、暗い殺風景な地下牢だ・・・・

そんな中はしゃぎまくっているフランは、誰がどう見ても狂っているようにしか見えない。

魔理沙(心の声)「・・・もしかして、催眠が効きすぎたか?それほどまでにフランの心は・・・?」

その時だった。

不意に、こんな地下牢に似合わない明るい明るい曲が流れてきた。

ついに、二人は幻聴を体感したのだ_______

その曲はイントロからとても楽しげなのが伝わってくる。

幻想少女たちはまだ幻想入りしていないこの曲を知らないのだが、この曲は外の世界で

「メズマライザー」

と、呼ばれるものだった___________________

気分が高揚しまくっているフランは、その曲に合わせて踊り始めた。

知らないはずなのに、知っていたかのように。

歌が始まった・・・・・・・

あまりにも的を得た歌詞と言うべきか・・・

それはつい先ほどのフランと完全一致した。

吸血鬼は踊る。

辛さが全面的に押し出されたパートの歌詞という事もあり、少し不安げな表情を浮かべつつ踊っていた。

パートが変わる。

今度は魔理沙のようだ。

はじめは戸惑いつつ踊っていたが、いつしか楽しそうな表情を見せるようになってきた。

またパートが変わる。

二人で曲に合わせ踊る。

その時フランは気付かなかった。

魔理沙の両手が、「SOS」を意味する形をとっていた事を・・・・

サビに入った。

ひときわ盛り上がる。

元々幻覚が見えているフランの視界には、さらに紙吹雪まで現れた。

ここは一人づつ踊る。

フランは何かに突き動かされるように踊った。

その隙を見て、

魔理沙は自らの瞳で再びSOSを表す。

トントントン・ツーツーツー・トントントン。

モールス信号で「SOS」を意味するものだった・・・・・

今度は魔理沙が踊り出す。

何故か途中で分身が現れた気がしたがそんな事はどうでもいい。

二人でポーズを決めた・・・・

間奏が入る。

身体でリズムをとる。

魔理沙はまたしてもSOSを示すことを試みる。

間奏の最後の方で、

ハンドサインで「SOS」を表した・・・・・・・

ふいにパートが変わる。

なんだか雲行きが怪しい。

魔理沙はもう、誰にも救ってもらえないと分かり、

SOSを示すのを止めた・・・

突如、

催眠が強制解除された。

今まで明るい外(幻想)を見ていたフランは唐突に殺風景な地下牢(現実)をまざまざと見せつけられてぽけぇっとした。

魔理沙は・・・・・

よく分からないが、ただ一つ理解出来た事があった。

自分は、とんでもない事をしてしまった_____________________

歌が再び始まる。

フランは普通に踊れていた。

魔理沙は少し安心する。

だが・・・気のせいだろうか。

心なしか、静かな感じになった気がする。

魔理沙の頭の中には、何故か分からないが一つの言葉が浮かんでくる。

嵐の前の静けさ___________

『こんな時代に』

フラン(心の声)「結局、私はもうだめなんだ。」

『誂』

フラン(心の声)「もう、現実を、生きられない」

『え』

フラン(心の声)「それなら、もう」

『た』

瞬時に辺りが滅茶苦茶になった。

魔理沙はもう跡形もない。

紅魔館も、ギリギリ館の形を保っている状態だ。

恐れていた、

フランの破壊の能力の、

「全覚醒」

だった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

勿論フラン自信もただでは済んでいない。

輝いていた眼は真っ暗。

例えるなら、夜の闇を100倍にして圧縮したような、とでも言うべきか。

舌はだらんと垂れ下がり、

首元には、何時の間にか

「首吊り自殺」

等を意味する黒いチョーカーが巻き付いていた。

破壊の能力を全覚醒させ、

自分自身も壊してしまったのだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

フランは独りになったというのに、踊りまくっている。

操り人形のような動き方だった。

首が曲がってはいけない方向に曲がったりしている。

曲が終わった_____________

吸血鬼はまだ壊れている。

何を思ったかロープをしっかりと掴んだ。

それを、奇妙な事にそこだけ壊れていない、

天井に一つだけある、電灯に括り付けた。

その辺に転がっていた椅子をセッティングする。

フラン「兵隊さんがあと一人残されたら、」

椅子の上に乗る。

フラン「自分で首を吊って、」

椅子を蹴った・・・・・・

「そして誰もいなくなった」

フランの視界は暗転した__________________________

(東方催眠狂(エピローグ)に続く)

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アニメとゲーム2024/10/29 15:29:52 [通報] [非表示] フォローする
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すごい長くなった。ホントはエピローグとまとめたかったんだけど長くなりすぎるのでやめた。エピローグはなるべく早く投稿します。

メズマライザー聞きながら読んだら楽しいかもね🌟

東方催眠狂①https://tohyotalk.com/question/697287

     ②https://tohyotalk.com/question/698571

     ③https://tohyotalk.com/question/698876

     ④https://tohyotalk.com/question/704487

エピローグ https://tohyotalk.com/question/708296


満月が0.24ルクス、月のない夜が0.0003ルクス(ソースhttps://www.tlt.co.jp/tlt/lighting_design/design/basic/data/1_3.pdf)よって平均0.12015ルクスそれを1000倍濃縮するから0.00012015ルクス、星明かりは0.01ルクスだから星明かりの約100分の1って事か(理系の癖に計算出来ないし、テストで点取れない人から)


>>2
比喩表現を実際に計算できるのえぐすぎる頭いいですね


>>3
ググっただけよっ


>>4
少し計算はしたが


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