途中で気力が尽きましたぜよ
びゅう、寒風が身体の芯まで撫でてくる。この感覚は嫌いだ。教科書の若干ツヤがある紙を引っ掻いた後味のような、心は怖がっていないのにぞわりとするあの感じ。
「あ、コンビニ。」
登下校中の寄り道は良くないことだが、私は今日機嫌が悪い。昨日の夜からちょっとした災難や嫌な予定が積み重なって、布団の中で推しを見たら涙がこぼれてしまいそうな程には心がすり減っているのだ。きっと、これぐらいの気晴らしは許されるだろう。
そう考えたのが間違いだったのかもしれない。無駄に耳に響く入店音でこちらに一瞬目を向けてきたレジ近くの男子は、同じ学校の制服を着ていた。
「…」
軽く会釈して店の奥に避難しようとする。が、「待って」と呼び止められた。仕方なく棚の列から顔だけ出すと、彼はレジ横にあるあったかい商品のコーナーを指差してこう言った。
「肉まん、二つで半額だって。」
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