先手
血の匂いがしない、あの高さから落ちてだ。
人ならぬ者、だが自分とは根本的に違う、もっと不可解な何かだ。
「さっき、綺羅さんの蹴りを受けただろ。」
考えるべきは一つ。
「下がれ!」
子供達がかたまりになって後ろに下がり、次いで二人で一歩出る。
狭い境内では御社まで下がらせても三メートルもないが、それで足りる。
不可解の中で二つ、まずあれはこちらを舐めている。
ゆっくりと首を揺らしながら、ゆらりゆらりと石段を登ってきている。
それと‥
あいつが獣だということだ、快楽のために虐殺するんじゃない、腹を満たすために人を狙っている。
なら、子供では腹の足しにならない。
「やああ!」
ぶりをつけて跳躍し、敵の頭を‥
「ってぇなぁ、けど、折れてない。」
「らぁ!」
向きを変えて頬に蹴りを入れ、ガラ空きの胴に叩き込む。
「むう!?」
「みんなのことは、傷つけさせない。」
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