とーと事件4章

8 2025/11/03 17:50

第四章 黒の刺客 ― 食べ消し

 ──とーと事件、三日目。

 街はもう形を失っていた。

 焼け焦げた地面と、沈黙した電波。

 それでも、わずかに生き残った人々は隠れながら、

 それぞれの“応力”に怯えていた。

 蓮たち三人は、郊外の廃研究所に身を潜めていた。

 外では、空に無数の光が巡っている。

 運営の監視ドローン──“観測眼”だ。

「ここで一旦、体勢を整える。

 俺たちが生き延びるためにも、まず戦える場所を確保しないと」

 蓮の言葉に、つみきは頷く。

 kokoは崩れた壁の外を見つめ、静かに呟いた。

「……でも、運営が本気を出したら、どこに逃げても見つかるわ。」

「だからこそ、迎え撃つんだ。」

 蓮の声が冷たく響いた瞬間──

 空気が“止まった”。

 時間が止まったような静寂。

 次の瞬間、壁にいた影が“消えた”。

 いや、違う。

 **“食べられた”**のだ。

 壁そのものが、影に触れた瞬間に“存在ごと”失われていた。

 光も、音も、そこには届かない。

 空間が喰われている。

「来たな……!」

 蓮が立ち上がった瞬間、

 闇の中から、ゆっくりと一人の男(いや、人影)が歩み出た。

 黒いマント。顔はフードで隠れており、表情は見えない。

 けれど、声だけは静かで、異様に透き通っていた。

「……対象、蓮。抹殺対象確認。」

「運営の刺客か。」

「コードネーム《食べ消し》。

 存在を食い、記録から消す者。

 君の存在は、時の法則に逆らっている。

 ここで削除する。」

 空気が歪む。

 彼の周囲の景色が“欠けて”いく。

 まるで、世界そのものを食べて消しているかのようだった。

 蓮が前に出る。

「みんな下がれ。あいつは“接触”したものを喰う。

 物理攻撃は効かない。」

 つみきが息を呑む。

「……そんなの、どうやって勝つの?」

「奪うしかない。俺の《スキル奪還》で、能力ごと。」

 kokoが眉を寄せる。

「でも、触れた瞬間に消されるのよ? それじゃ──」

「だからこそ、タイミングが命だ。」

 その瞬間、食べ消しの声が響いた。

「予測完了。攻撃、開始。」

 足元の床が消えた。

 三人の立っていた場所が一瞬で“無”になる。

 蓮は咄嗟につみきを抱き上げ、空間を蹴って跳躍する。

 “消滅”の波が背後を飲み込んだ。

 触れたものが、音もなく消えていく。

「《結界展開》!」

 kokoが両手を突き出し、光の壁を広げる。

 だが、結界の端が“喰われた”。

 まるで、結界の存在そのものを削除されたように。

「……!? 効かない……!」

「物理じゃなく、“存在”を喰ってる。

 結界の情報ごと、食べられてるんだ。」

 蓮は歯を噛み締めた。

 自分が未来で一度、彼と戦って“勝てなかった”ことを思い出す。

 だが、今は違う。

 未来を知っている自分なら、今度こそ勝てる。

「つみき、上を見ろ。天井を抜けて外へ!」

「でも、あんたは──!」

「行け!!」

 蓮の叫びに、つみきは走った。

 その瞬間、食べ消しが手を伸ばす。

 空気ごと、彼女の存在を喰らおうとする。

「させるか──!」

 蓮が突進し、あえてその手を掴んだ。

 世界が歪む。

 自分の腕が“消えかける”感覚。

 痛みではなく、存在そのものが薄れていく。

 だが──

「《スキル奪還》、発動。」

 逆流する光。

 奪う力が、喰う力を上書きした。

 世界のバランスが揺れ、食べ消しの体が震える。

「……これは、何だ……? 僕の力が……奪われ……?」

「存在を喰う力、奪還完了。」

 蓮が低く呟いた瞬間、世界が静止した。

 “喰われた空間”が再構成され、音と色が戻る。

 食べ消しは膝をつき、苦しげに声を漏らした。

「なぜ……僕を、殺さなかった?」

「お前の力は、奪えば済む。命までは奪わない。

 俺は運営みたいに“消す”側になりたくねぇんだ。」

 沈黙。

 やがて、食べ消しのフードの奥から、わずかな声がした。

「……運営は、僕の記憶を喰った。

 命令に従うしかなかったんだ。

 僕が誰だったかも、もう覚えていない。」

 kokoが近づき、静かに手を差し出す。

「……なら、一緒に来て。

 ここにいれば、誰かを守ることができる。」

 食べ消しは一瞬迷い、そしてその手を取った。

 夜。

 瓦礫の中、焚き火の前で四人は並んで座っていた。

 kokoが穏やかに微笑む。

「これで、私たちは四人ね。

 蓮、つみき、私、そして……食べ消し。」

「名前はどうする?」と蓮が問うと、

 食べ消しは静かに呟いた。

「……“喰う”より、“護る”側にいたい。

 なら……“消し”だけ残してくれ。

 俺の名前は──消しだ。」

 蓮は頷いた。

「ようこそ、消し。

 これが、運営を倒すための最初のチームだ。」

 焚き火が揺れ、赤い光が彼らの顔を照らす。

 四人の影が、夜空の下で一つになった。

 ──hypocrite、再誕。

今回は食べ消しさんの登場です。自分登場させたかった人なんで許可もらえてよかったっす。ガチ感謝

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おもしろ2025/11/03 17:50:28 [通報] [非表示] フォローする
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食べ消しさんは最強格の一人です


一人称が僕なのなんでわかんだよ(ガチ)

いやぁよかった、そっち側に入れて


>>2
つぶやきで見てた


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