とーと事件11章
第11章:アダム初戦
視界を覆う白い霧。その向こうから、足音が一つ、ゆっくりと近づいてきた。
コツ…コツ…。
「……来るぞ。全員、構えろ」
蓮はそう言いながら、仲間たちに視線を走らせる。
食べ消しは刀を肩に担ぎ、ニヤリと笑った。
「運営四天王って奴か?どれだけ強くても、食ったら終わりなんだよなぁ」
ゼラチンは全身をぷるぷる震わせながらも、不敵な笑みを創り出す。
「分解して煮込んでやりましょう」
うまうまレタスは葉をなびかせ、無表情のまま一歩前へ。
「能力奪取準備、完了」
そして――霧が割れる。
現れた男は、無垢な白に包まれた存在だった。
純白のコート、淡い銀髪。だがその目だけは、底知れぬ“悪意のなさ”を湛えている。
悪意がない――それが逆に恐ろしい。
「こんにちは。ボクはアダム。運営四天王のひとりだよ」
その声は優しすぎて、血の匂いがしない。
「お前が…四天王、だと?」
蓮が問いかけると、アダムは小さく首を傾げた。
「うん。でも戦いたくなんてないよ。ボクはただ、“正常”に戻したいだけ。
君たちを排除して――この世界をね」
その優しい声が響いた瞬間、膨大な魔力が爆ぜた。
ドオオオォン!!
「なっ…!?」
蓮たちを中心に大地が陥没し、瓦礫が宙へ舞う。
アダムは動いていない。ただ微笑んでいるだけ。
それだけでこの破壊。
「チート能力…か」
蓮が歯を噛み締めた瞬間――
「一時奪取、発動」
うまうまレタスが草色の光を放つ。
アダムの身体から力が吸い上げられ、風景すら歪むほどのエネルギーがレタスに吸収される。
「すごい能力だね。でも――」
アダムは右手を軽く上げる。そして、軽い口調でこう言った。
「戻れ」
瞬間、レタスの身体から奪った力が逆流し、弾かれるように吹き飛ばされた。
「くっ…!」
蓮が駆け寄り支える。
「レタス!無事か!」
「問題……ない。だが――能力への干渉が強すぎる」
(やっぱり…こいつ、桁外れだ)
そんな蓮の思考を読み取ったかのように、アダムは笑顔のまま囁く。
「ボクは“世界の修正力”。異常な力を正すためにいる。
君みたいな“運命のイレギュラー”は――ね」
蓮の背筋に冷たい汗が流れる。
「……黙れ」
その声には怒りが混じっていた。
蓮は手を天に掲げ、黒き魔法陣を展開する。
「憤怒(ラース)の魔王よ、顕現せよ!
そして全悪魔よ、我が敵を喰らい尽くせ!!」
七つの大罪が全て解放され、
更にソロモン72柱が次々現れる。
圧巻すぎる魔の軍勢。
「行けぇえええええッ!!」
一斉にアダムへ襲いかかる。
しかし――
「不完全だね」
アダムが指を鳴らしただけで、悪魔たちは次々と砕け散る。
神話級の存在が、紙屑のように。
「は…?」
「君は力を持ちすぎた。そのせいで、ひとつひとつが不安定になっている。
集合体としての“完成度”がゼロなんだ」
アダムは、蓮の胸を指で軽く突いた。
――その瞬間、蓮の視界が真っ白に染まる。
「蓮!!」
食べ消しが急接近し、アダムに刀を振るう。
だが触れた瞬間、刀が塵と化す。
「なっ、俺の食べ刀が…!?」
「“異常”は壊す。それがボクという存在」
ゼラチンが跳びかかる。
「ならばこの身体を溶かせるかァ!」
その一撃がアダムを飲み込む――が。
「残念」
ゼラチンの身体の一部が消失していく。
「ぎゃっ――!!」
「君も“仕様外”なんだ。ごめんね」
誰一人、近づくことすら許されない。
それは絶望の象徴――
だが蓮は、ゆっくりと立ち上がる。
「面白ぇじゃねえか」
血を流しながら、笑った。
「俺は運営に抗い続けてきた。
たとえ世界が俺を異常って言っても――」
蓮は拳を握る。
「俺は、俺として生きる。
そのために、お前を超える!!」
アダムは嬉しそうに目を細める。
「そう。君こそが――ボクの倒すべき“最終エラー(バグ)”。
次は少し本気を出すよ。死なないでね?」
次の瞬間、世界が弾けた。
アダムが動いた時間は、ほんの一瞬。
「っぐ…!」
蓮の腹に、深く拳がめり込んでいた。
「蓮!!!」
視界が回転する。
身体が吹き飛ばされ、瓦礫を何度も砕く。
骨が軋む。呼吸ができない。
アダムは優しい笑みを崩さない。
「今日はここまで。ボクは逃げないよ。
だから…強くなってね、蓮君」
その言葉と共に、アダムは霧と同化し――消えた。
残されたのは、傷ついた仲間と、揺らぐ大地だけ。
蓮は拳で地面を叩きつける。
「クソッ……!」
完敗だった。完膚なきまでに。
だが――
「まだ終わらせねぇよ。
次は勝つ。そのために、もっと強くなる」
蓮の瞳に宿る光は消えていない。
戦いはここから本番。
運営四天王の一人、アダム。
彼こそ――蓮が乗り越えるべき最初の壁。
「行こうぜ、みんな。次にやる時は勝つ」
仲間たちも頷く。
絶望に膝をつく暇なんてない。
立ち向かうために――彼らは歩き始めた。
出す順番間違えたぁぁストック制やめようかなぁぁっぁああああああああああああ
マヂですいません
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