綺麗なコンプレックス
私は生まれつき白い肌だ。まるで紙のような白い肌に周りの人は化物だと言って気味悪がった。肌のせいか友達一人作ったこと無い。私だって好きでこの肌になったわけじゃないのに。
おしゃれなお洋服の店に行くと店員さんや他のお客さんに笑われる。それが怖くて恥ずかしくてネット通販などで服やご飯を済ませるようになった。と言うか一人暮らししたときからずっとそうだ。でもそろそろ姉とお出かけに行く。いつもの黒い服だと味気ないよなぁ。
久しぶりにおしゃれな店に足を踏み入れる。すると一人の店員さんが話しかけてきた。
「いらっしゃいませ〜!どのようなお洋服をお求めですか?」
「え、えっとその...」
久しぶりに人と話すので緊張してしまう。すると綺麗な淡い水色の服が目に入った。ワンピースで色合いがとても綺麗だ。裾にはお花の刺繍が施されているがこんな可愛いもの私に似合うはずもなくいつもの服と似たような物を手に取った。
「こ、こういう感じのがいいんですけど...」
「...お客様勿体ないですよ!凄く綺麗な肌をしているのに。黒一色だなんて!」
店員さんはぷりぷりと怒った。そして先程見ていたワンピースを手に取ると私を鏡の前に連れてきてワンピースを重ねる。
「ほら、綺麗なお肌に淡い水色のワンピース映えるじゃないですか!」
「でっでも私には着こなせないと言うか...」
「どうしてですか?とても綺麗なのに」
「だって似合わないし着こなせないから...服に失礼じゃないですか」
「...お客様はとてもネガティブな方ですね。一つお話してあげますよ。私は白色が大好きです。なぜか分かります?」
「え?せ、清楚な感じだから?」
「いいえ、どんな色でも鮮やかに映るからです。黒でも赤でも青でも緑でも綺麗になれるんです。知ってます?白はキャンバスの色なんです。まだ何も描かれていないキャンバスの色。そこからどんな色を乗せてもいいんです!赤を乗せたら青を乗せて青を乗せたら黄色を乗せて...だから私は白いお肌のお客様が羨ましいです。私実は自分の濃い肌がコンプレックスなんです。」
そう言うと悲しそうに俯いた。でも...店員さんのお洋服は明るくて店員さんのイメージにあっている。
「て、店員さんのお洋服もとっても似合っています!」
「...ありがとうございます、初めて言われました。それにこの洋服お気に入りなんです。絶対に似合わないって言われましたけどやっぱり好きなものを着たくて...」
「とっても似合っていますよ。それとこの洋服頂けますか?私も自分に正直になりたいです。」
「はい!すぐにお包みしますね!」
そう言って綺麗に袋に詰めてくれた。
「またのお越しをお待ちしております!」
店員さんは大きな声で言ってくれた。お店を出るとショーウィンドウに移った私がいつもより輝いて見えた。だが黒一色の地味な服に思わずため息が出る。こんなにきれいな肌を持っていたのに気づかなかったなんて...
数日後。
綺麗なワンピースに袖を通し姉と待ち合わせの場所に向かう。姉は私を見るとニッコリ笑った。
「いつものあんたがとびっきりかわいく見えるよ」
姉は少し驚きながらそう言ってくれた。私は「そんな事...(ないよ)」と言いかけたが店員さんの言葉を思い出してニッコリ笑って言った。
「当たり前でしょ!だってこれは綺麗で私だけの個性なんだからね!」
笑った顔はいつもより綺麗に見えたし、自分の肌にちょっとだけ自信が持てた日だった。

