優しいプレゼント
息を吐くと、白く見える。
外はすっかり暗くなった。
冬は苦手だ、寒い。
サッカーボールを転がして、時計を見上げる。
弟や妹が生まれてくると言われたら、どう思うのか?
よくわからない、もう少し何かこう、感動したりするものだと思っていたんだが、どう反応すればいいのか分からなかった。
だって弟なのか妹なのかも分からないし、母さん普通だったし。
妹欲しい?とか聞かれても、欲しくないわけではなかったのだが…
赤ちゃん、赤ちゃんが生まれてくるのだ。
「赤ちゃんかあ‥」
そう、赤ちゃんである。
つまり、俺はお兄ちゃんということになるのだが、これがよく分からない。
「お兄ちゃん‥」
「保健でまだ習ってねぇもん‥」
赤ちゃんというものがよくわからない。
サッカーしてて、女子にモテて、それが全てだったのに。
いきなり家族が増える。
「兄妹ってのはいいもんじゃ、のお…」
「いやじいちゃん‥」
じいちゃんはちゃんとしたことを教えてくれなかった。
「名前は光留‥」
女の子だだったら光留。
「ゲームしよ」
画面の向こうの勇者が、魔王に灰にされてしまった、画面が赤くなり、世界の時が止まる。
「またやり直しだ‥」
次はもっと回復薬を持っていく、武器も変えよう、盾はいらない、,,ガンガン行こうぜ,,だ
もう一度世界を救うため門に手をかける。
「勇者よ、良くぞ来た、我の仲間となれば世界の半分‥」
「いらねえよ」
いいえを押して、再戦。
「スターバーストストラーシュうええ!?だー!くそが!」
勇者はまた灰になった。
「今日はもう寝よ」
「明日はいのちだいじに‥」
「母親の卵子が、受精することによって‥」
省けるところは省いた説明を、先生が読み上げる。
「わあ…」
他人事は思えなかった、どこかむずかゆい。
生まれてくるのだ、俺の家族‥
「なあ、大きくなったら何したい?サッカーする?」
メガネの先生が言った。
「女の子ですね、おめでとうございます」
「光留、プレゼント何がいい?」
お腹に触れて、名前を呼ぶ。
「起きたら会おうな、元気で生まれてくるんだぞ〜、にいちゃん待ってるから」
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