愛想笑い
マスクが好き。顔半分隠れて笑う声だけしておけば相手は満足する。
「灯里ってさ何言っても笑ってくれるし...何と言うか便利だよね〜」
「それな〜」
「...」
裏で何言われてようと気にしない。笑っておけば相手も笑って、満足してくれる。
「おまたせ〜!」
「「灯里〜!」」
私の特技『愛想笑い』。これだけ出来ればいいの。泣いたふりも怒ったふりも愛想笑いの次。愛想笑いしか勝たん♡
...思えばあの日から。話を聞いてただけだったのに。
「笑って無くて草」
「つまんないよね〜」
「そ、んなことは...」
...まぁいいか。気にしない。昔のことは気にしない。それに愛想笑いは人類を救うんだから。
「...灯里?」
「ごめん!何言ってたっけ?」
「灯里ったらバカなんだから〜!」
何を言われても怒らないの。...バカなのはあんたなのに。私は頑張ってる。勉強もダンスも何もかも頑張ってる。バカにバカって言われたくない。
やっば。マスク忘れちゃった...。まぁ大丈夫かな。行ける。大丈夫大丈夫。
「灯里〜!おはよう...今日は機嫌悪いの?」
「...え?」
「だって笑ってないから」
笑えてない?嘘でしょ?笑えてない?なんで?愛想笑いだけは得意なのに。愛想笑いが無くなったら私には...何も残らないのに。
「ご、ごめん!早退するね!」
いやだ。いやだいやだ。やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ。
「笑え。笑え笑え...笑え」
指で口角を持ち上げる。笑えない。次は頬をつねる。笑えない。最後は...口の中にピンを入れる。出来た。ほら!可愛い笑顔になった。愛想笑いだとは思わないでしょ?
私は今日も今日とて愛想笑い。
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