ゆるくたってギャングはギャング
キャラ崩壊あり
~スタート~
ー らっだぁ ー
今日は、年に数回のボス会議。
黒視点からの街の情景を把握すべく、お上が開いている。
そんなボス会議は、平和に終わる日もあれば、何らもみ合いを起こしてなかなか終わらない日もある。
今日は面倒事起きませんように!
そう願いながら、シスを連れて向かった。
市役所には既に他ギャングカラーの車両があった。
そのギャングカラーが仲のいいギャングの色で、少し安心した。
面倒なやつが一番乗りだと、調子に乗るからだ。
とも「らだちゃん」
らっだぁ「あれ?ともさん。アキロゼは?」
とも「今日いなくて、代わりに来た」
らっだぁ「ともさん個人医なのに」
とも「ね〜」
ほんとに困ったよ。
とか言いつつも困った顔をしていないのは、アキロゼに頼られて嬉しいからなのだろう。
とも「あ、そうだ。らだちゃんさ、先月くらい?に新しく出来たギャング知ってる?」
らっだぁ「なにそれ」
とも「ハウラーズって名前だったかな。他所で悪名高いって噂が流れてるらしい」
らっだぁ「他所じゃなくて、ココでの評判を聞きたいんだけど…」
とも「それは分からない。ただああいう噂が流れてるだけ……あ、アレだよ」
噂をすればなんとやら。
茶色のスポーツカーから、ブラウンのスーツを着た男が出てきた。
「ご機嫌よう。赤のギャングと青のギャング」
らっだぁ「こんにちは。茶色のギャングさん」
「茶色のギャングとは…私にはちゃんと名前があるんですよ?」
らっだぁ「貴方が先にそう言ったんですよ?こちらも同じく返したまでです。で、自己紹介していただけますか?」
お前がそう言ったんだろうがバーカ。
と言いそうになるのを堪えて、丁寧に返す。
「申し遅れました。ハウラーズのギャングのボス。ハウルバートと申します。どうぞ、ハウルとお呼びください」
らっだぁ「ご丁寧にどうも」
「貴方方のお名前は?」
らっだぁ「らっだぁと申します。よろしくお願いしますね」
とも「赤髪のともです。よろしくお願いします」
「どちらのギャングなので?」
らっだぁ「……服装を、見ていただければわかるかと」
内心イライラしながら、丁寧な装いを崩さないように努める。
「ココに来てからまだ一ヶ月ほどしか経っていないものでして…どのようなギャングがあるのか把握していないのです」
だから教えろってか。
馬鹿か?コイツ。
らっだぁ「今ココで言わなくとも、後で分かりますよ」
「…それもそうですね」
そう返事をしたかと思うと、さっさと役所に入っていってしまった。
らっだぁ「細工されたら嫌っすね」
とも「俺も思った。入ろ」
役員が居ない役所内は静かで、革靴の音が響く。
「おや、貴方方も来たんですか」
らっだぁ「本当は全員来てから入るつもりだったんですけどね」
厭味ったらしい笑顔を貼り付けてそう言うが、ハウルには伝わらないらしい。
そうですか、と軽い返事をしただけで会話は終わってしまった。
とも「やな感じ」
小声でともさんがそう言った。
全くその通りだ。
アイツには他所の雰囲気が抜けてない。
きっとココでも上にいる気分なんだろう。
まぁ、他所のアイツの評判は知らないけど。
本来の会議の始まりの時間から5分が過ぎた所で、全員が集まった。
市長「では、会議を始めます。ハウラーズは自己紹介も兼ねて、色々と報告お願いします」
「はい。先月建てたハウラーズですが、シマの範囲が狭いと苦情が起こりました」
ヤク売らないからだろ。
「それと、薬を練る場所が遠いという事」
シマ問題に繋がるな。
薬練る場所が近くに欲しいなら、近いところをシマにしやがれ。
「それと、ご本人には心当たりがないそうですが、青いギャングに喧嘩を売られた事がありました」
売ったけ?
お前の存在すら知らなかったんだけど。
「そういうことですので、抗争を申し込みます」
らっだぁ「すみませんね、本当に心当たりが無いんですよ。その売られた喧嘩の内容を、事細かに教えてもらってもいいですか?」
「勿論ですとも。まず、そちらのお馬鹿な構成員がウチのシマに手を出した事…」
お馬鹿…ねぇ。
確かにそうだけど、一体どの口が物を言ってんだ。
「ウチを蔑み、侮辱した事」
特大ブーメラン。
お前が今ウチにしてるのな〜んだ。
「そして、お宅の新人がウチの金やアーマーを奪って行ったことですね」
新人は入れてない。
それに、見ず知らずのギャングの所に盗みに入る程、子供達は愚かじゃない。
「さあ次は、貴方が説明する番ですよ。どうですか?思い出しましたか?土下座して許しを請えば、許してやらないこともないですけどね」
らっだぁ「説明するも何も、お前の嘘を、誰が信じんだよ」
嘘を重ねて、高慢な態度で物を言う。
何処ぞの国王ですか。お前は。
らっだぁ「誰が、お前の所なんかに行って物を盗むんだよ。ホームレスでもやらねぇぞ」
「何故ホームレスが出てくるのです?ギャングのアジトなんですから、ホームレスは来ないでしょう」
らっだぁ「先月出来たギャングなんか、半グレ集団なだけだろ。金目のもん貯めてたら、空き巣とかに遭うぞ」
「なっ…このハウラーズに向かって半グレ集団呼ばわりなど…!!」
らっだぁ「申し訳ないんだけど、ハウラーズっていうのも初めて聞いたし、ココと向こうじゃ勢力が違うからさ…。立場弁えな?」
「立場を弁えろ…ですか。そんな貴方に、もう一つ教えて差し上げます」
ハウルは、下卑た笑みを浮かべ口を開いた。
「お宅の、頭の悪そうな子供達。実に扱いやすい方々でしてね。少し脅しただけで、ウチの若いのにも尻尾振ってますよ」
らっだぁ「……」
とも「あ~ぁ…」
その一言に、会議に参加したボスたちが其々反応した。
呆れる者、諦めた者、逃げようとする者。
「本当に…貴方は人の事を言えない筈ですよ?貴方も所詮は半グレ集団。なんでしたっけ?ゆるギャンと呼ばれているのでしょう?ギャング舐めてるんですか?」
ゆるギャンは、否定しないな。
「まぁゆるいだけあってか、弱く可愛らしいことで。もしよろしければ、そちらのお荷物私が貰いましょうか?」
名案だ。
とでも言うような表情で、そう言った。
そんな時、俺の中で何かが切れた。
らっだぁ「お荷物?」
「はい。ウチで育てたほうが、あの子達もきっと強くなるでしょうし」
平然とそう口にするハウル。
無意識に持っていたボールペンを強く握った。
「本当に、出来の悪い子ほど伸びしろがあると言いますし?そちらじゃあ使い切れないだろうと思ったので、親切心でこう言っているのです。どうですか?悪くない話で─」
ハウルが言い終わる前に、握っていたボールペンを投げつけた。
芯が出ていたのだろう。
かすめた頬には傷ができていた。
らっだぁ「出来の悪い子、お荷物、ねぇ」
出た声は、自分の思っていたものよりも数倍低く、冷めていた。
「気に障りましたかな?いやでも、事実を申し上げたまでで、貴方のところの使い物にならないやつを、こちらで使うだけですよ」
気付けば、机に乗り出しハウルの胸元を掴んでいた。
らっだぁ「扱いやすい?お荷物?尻尾振ってる?」
「はっ…離せ…!!」
らっだぁ「黙れ」
静止しても暴れるハウル。
抵抗されると面倒臭いので、床に押し倒し馬乗りになる。
胸元は離さない。
らっだぁ「お前。ウチの子達がどれだけ努力してるかも知らねぇくせに…!お前みたいなポッと出がウチの子達を語るなよ」
「ひっ…」
らっだぁ「ハウラーズ?そんな巫山戯た組織は今日で解散だ」
「ハッ…離せ!首が…」
赤くなったり青くなったりしていた顔色が、紫のみに変わる。
らっだぁ「子供達に害をなすものを潰すのが親の務め…。そうだろ?」
とも「らっでぃ!!離して!死んじゃうよ!」
躊躇いなく首を絞めていると、ともさんが腕を掴んできた。
らっだぁ「ともさん。こんな奴、生きてる価値ないっすよ」
掴んでいたともさんの腕を振り払い、ハウルに拳を振り下ろした。
鈍い音が響き、何かが潰れる感触が拳に残る。
らっだぁ「もう1回、ウチの子供達を貶してみろ。翌日の朝日が望めると思うなよ」
「ぃ…あ…」
らっだぁ「返事」
「はぃ……」
胸元から手を離し、そっと退く。
らっだぁ「会議を中断させてすみません。続きをしましょう」
市長「いや…後日また招集しますので…本日は解散です…」
らっだぁ「分かりました。失礼します」
足元に転がっているソレを蹴って退かし、会議室から退出した。
とも「らだちゃんやり過ぎだよ」
らっだぁ「いやぁ~ムカついちゃって〜」
とも「まぁ…アイツに釘は刺せたし良いか」
らっだぁ「コレでこの街から消えて欲しいっすけどね」
とも「どうだろね」
らっだぁ「消えなかったとしても、名前の通り吠えるだけだからそんなに脅威じゃないけど」
とも「言えてる!」
先程までの殺伐とした空気を忘れるくらい、明るい笑い声が響いた。
らっだぁ「ただいま〜」
ぺん「らっだぁ!!なんか茶色の服着た奴がココ来たんだけど、何かあったの?」
らっだぁ「茶色の服着た奴…?ナニソレ怖ぁ」
ぺん「よくもボスを!!って叫んでたけど」
らっだぁ「……しらなーい。また来たら殺して良いよ」
ぺん「よっしゃぁ!!不破っち、殺して良いって!!」
不破「やったぜ!!」
テンションで誤魔化されているような気がするが、言ってることはちゃんと物騒だ。
ウチに手を出した事。後悔させてやろうか。
らっだぁ「銃仕舞えー。今から殺しに行くんじゃないんだから」
終わり
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