【バレンタイン総選挙】校内バレンタイン事件簿
今日も朝がやって来て、私は学校に登校する。いつもよりも学校が騒がしく感じる。今日は2月14日、バレンタインデーだ。
「千代、おはよっ!ハッピーバレンタイン!」
私、白川千代にそう言ったのは、黒谷怜衣。私の数少ない友達だ。
「今日はバレンタインだから、千代のためにクッキー作って来たんだ~!」
怜衣の作ったクッキーは少し不恰好だった。
「あまり上手く作れなかったけど、千代にどうしてもあげたくて…。」
「気にしないで!私のために作ってくれたんだよね…。ありがとう!ねえ、怜衣知ってる?」
私は怜衣に問いかける。
「クッキーにはね、友達でいようって意味があるらしいよ。怜衣のクッキーにも、そんな意味があるのかなって思って。」
「そんな意味があるんだ…!クッキー作ってよかった~!」
「そしてこれ!私からね!」
私から怜衣にもバレンタインプレゼントとして、チョコを渡した。とても嬉しそうでこちらも嬉しくなる。
そんなことを話していると、後ろから誰かが走ってくる音がした。
「怜衣~!バレンタインプレゼント!」
「あっ、友!」
後ろからやって来たのは、怜衣の幼なじみである二見友だった。二見さんとは同じクラスなのだが、あまり話したこともなくて、二見さんのことはよく知らない。
「あれ?友、チョコくれるって言ってなかったっけ?」
「そうなんだけど、怜衣はチョコよりマシュマロのほうが好きかなって思って!」
「そうなんだ!ま、私はなんでも好きだし、嬉しいけどね!」
「それはよかった!それは昼休みに食べてね!絶対だよ!じゃあ!」
二見さんとは別れて、私と怜衣は教室に向かった。
教室に着くと、クラスメイトの早乙女姫華がクラスメイトたちにチョコを渡していた。
「あっ!白川さんと黒谷さん!二人にもプレゼントしますね!」
「あ、ありがとう…。」
早乙女さんは、親が大企業の社長らしい。悪い人ではないのだが、たまにある金持ちアピールが苦手だ。
「静かにしなさーい!席座ってー!」
担任の先生が教室に入って来た。そろそろ朝のホームルームが始まる。
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ホームルームが終わって授業が始まった。今日がバレンタインだからなのか、なんだかみんながそわそわしているように感じた。
午前の授業が終わり、昼休みが始まった。私は怜衣とお弁当を食べることにした。
「怜衣、今日本当に神瀬さんに告白するの?」
「うん、今日の放課後にね。」
神瀬さんというのは、クラスメイトの男子、神瀬翼のことだ。モテる男子って訳ではないが、怜衣は神瀬さんのことが好きらしい。
「いよいよか~!告白、成功するといいね!」
「ありがとう~!頑張るね!」
「そうだ!朝、友にもらったの食べよう!」
私は怜衣が二見さんからもらったマシュマロが気になって見てみた。カラフルでとてもかわいい。
「美味しいけど、初めて食べる味。」
「へ~、そうなんだ~!」
そして、今日の昼休みは終わった。
昼休みが終わり午後の授業が始まった。五時間目は体育だ。それに今日の体育はマラソン。みんな嫌がりながら走っている。
「マラソンなんて嫌だね…。怜衣…?」
怜衣がぼーっとしている。いつもはそんな感じじゃないのに…。
それから数分が経ったが、やはり怜衣の様子がおかしい。
「怜衣、大丈夫?」
そのときだった。バタン…!怜衣が倒れた…!
「怜衣…!?怜衣!大丈夫!?先生!怜衣が…!」
怜衣は保健室に運ばれた。そのまま体育の授業は続いたので、私は放課後に怜衣の様子を見に行くことにした。__________________________________________________
「失礼します…。」
「あら、もしかして黒谷さんのお友達?」
「はい、黒谷さんの様子が気になって…。」
「黒谷さんなら大丈夫よ。少し疲れてたのかしら…?少し深く眠っていたみたい。さっき目が覚めたところよ。」
「そうですか…!よかった…。」
「黒谷さんはあっちのベッドにいるから、顔を出してあげて。」
「はい!わかりました!」
保健室の先生から話を聞いて、私は少しほっとした。
「怜衣、大丈夫…?」
「あ、千代…?来てくれたんだ…。」
「うん、怜衣が無事でよかった…。」
「そう言えば告白、できなかったな…。チョコも一緒に渡すつもりだったのに…。」
「それは残念だったよね…。でも今は怜衣の健康が一番だよ…!」
怜衣が無事でよかった。でもひとつ、不可解なことがある。なぜ怜衣が倒れたのか。怜衣は昼休みまではすごく元気だった。最近よく眠れないとか、食欲がないなどとは聞いてない。やはり何かがおかしい。
「怜衣、そろそろ私帰るね。お大事にね。」
「うん、ありがとうね。」
私は家に帰って、怜衣の昼休みまでの行動を振り返ってみることにした。
登校。私と二見さん、早乙女さんからチョコをもらった。
午前の授業。元気に授業を受けていた。授業中に積極的に発表だってしていた。
昼休み。私とお弁当を食べる。それと二見さんから貰ったマシュマロを食べた。
怜衣の身体に影響があると思われる行動は、この中だと食事だとしか思えない。だとしたら、原因はお弁当かマシュマロにあるはず。まずはお弁当だ。怜衣のお弁当は、怜衣のお母さんが作っている。怜衣はいつもお弁当だが、今まで怜衣がお弁当を食べてから異変が起こるということはなかった。ならお弁当は原因ではない…?次にマシュマロだ。マシュマロは二見さんから貰っていたもの。私がそのマシュマロを見たときの記憶だが、見た目が市販のもののようには見えなかった。疑うのは悪いがするが、手作りのものとなると、なんだか怪しく思えてきてしまう。私はマシュマロを疑うことにした。
私はマシュマロと二見さんについて考えることにした。
朝の二見さんの行動について振り返る。そう言えば、二見さんは怜衣にチョコをあげる予定だったはず。でも、なぜマシュマロに変更したのだろうか。マシュマロには、何か特別な意味でもあるのだろうか。私はマシュマロについて調べることにした。ネットでマシュマロについて調べた。
「嫌い、忘れたい、関係が終わる…?」
まさかかと思うが、二見さんはそのような意味を込めるために、マシュマロをプレゼントすることにしたの…?だとしたら、マシュマロには、他に何かが仕込まれていたの…?
そう言えば二見さん、怜衣に昼休みに絶対マシュマロを食べてって言ってた。その言い方だと、昼休みより後に都合が悪いことがあるとしか思えない…。他に参考になる発言はないだろうか。
保健室の先生が言っていたことを思い出した。「怜衣は深く眠っていた」と。
ということは、二見さんにとって、昼休み以降に怜衣がいると都合が悪いことがあって、怜衣が眠くなるために、手作りのマシュマロに睡眠薬を仕込んだ…?
では、怜衣が昼休み以降にしようとしていたが、できなかったことは何だろうか。
…思い出した。神瀬翼への告白だ…!もしかして、二見さんも神瀬さんが好きなんだろうか。そして、二見さんは怜衣が神瀬さんに告白をすることを知っていたのだろうか。
もしそうだとすると、二見さんが神瀬さんに告白するつもりだったが、怜衣も告白するなら、神瀬さんが怜衣にOKを出してしまうかもしれないと考え、怜衣が神瀬さんに告白ができないようにした…?
きっとそうだ。私は明日、二見さんに確認をすることにした。__________________________________________________
私が教室に入ると、こんなことが耳に入って来た。
「ねえ、友?神瀬と付き合ったって本当!?」
「そうだよ~!OKもらえて本当によかった~!」
二見さんは本当に神瀬さんに告白をしていたのだ…!もう確定としか思えないが、本人とはしっかりと確認をするべきだ。
「二見さん、ちょっといい?」
「何?白川さん?」
「二見さん、怜衣にあげだマシュマロに何か仕込んだ?」
「な、何言ってるの…!そんなことするわけないじゃん…!」
目はそらされるし、まばたきも多い。これは嘘をついているときに現れる仕草だ。
「お願い…!怒ったりしないから教えて…!」
二見さんは少し黙ってからこう言った。
「何でわかったの…。そうだよ…!私が薬を盛った…!何か悪い…!?」
「そんなことしちゃダメだよ…。何で幼なじみにそんなことしたの…?」
「怜衣は…私と同じ人が好きだったの…。」
ここまでの予想は合っている。
「一週間前、怜衣は私にバレンタインに神瀬に告白することを教えてくれたの。そもそも、怜衣が神瀬のことが好きってこともその日に。でも、神瀬は私が気になっている人だった。怜衣にはそのことを言っていない。そのことを言ったら、関係が悪くなるかもしれないと思ったから。始めは、怜衣の告白を応援してあげるべきだと思った。でも、やっぱり諦め切れなくて、この行為をした。憎い思いを睡眠薬を盛ったマシュマロに込めて、怜衣に食べさせた。容姿が私よりもずっといい怜衣は、きっとOKをもらえてしまうと思ったから。」
私の予想は完全に的中していた。
「も、もういいでしょ…!?私、行くから…!」
二見さんは走ってどっかに行ってしまった。正直、私もこの空気が気まずいと感じていた。
私はこの件をどうするべきが長時間悩んでしまった。そうこうしている内に、この件は学校中に広まってしまっていた。私は何も広めていない。こういうのは自然に広まってしまうものなんだろうか。
他の人から聞いた話なんだが、二見さんはこの件を切っ掛けに、神瀬さんと別れることになったらしい。そして、二見さんは退学処分になった。
あの件から一ヶ月後のことだ。二見さんの件で元気を失っていた怜衣だったが、今は元気を取り戻した。
私は怜衣にひとつの提案をした。
「怜衣、今日神瀬さんに告白してみたら?」
「え?どうして?」
「今日はホワイトデーだし、怜衣の気持ちを伝えるのにぴったりだなって思って。ホワイトデーに女子から告白するのは、ちょっと違うかもしれないけど…。」
「…そうだね!私、告白してみる…!」
「うん!頑張って!」
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翌日になった。私が一人で登校していると、誰かが走りながら私の名前を呼ぶ声がした。
「千代ー!」
怜衣だ!
「怜衣!おはよう!」
「おはよう!ねえ、千代聞いて!私、告白成功した!」
「え!?それはおめでとう~!」
「千代が応援してくれてたお陰だよ!ありがとう!」
そのことを教えてくれた怜衣は、笑顔で満ち溢れていた。
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