海神
小さな妹を抱えて、波を被る。
「ナツ!もう大丈夫だぞ!」
泣いて怯えるナツを抱っこして泳ぐのは苦しかったが、なんとか浜まで戻った。
「大しけで海に入るやつがあるか!」
じいちゃんに小突かれた。
「ナツを風呂に入れてやらんと、低体温になるぞ」
生まれたばかりの小さい妹が、海で溺れかけた。
「怖がるようになるなら、それでもええ、丘におった方がええこともある」
俺もナツも潮を飲んだが、じいちゃんは怖い顔で俺を叱った後は何も言わず、早く寝ろとも言わなかった。
「お納め申します」
人は海の恵みを受けながらも同時に畏れ、敬う。
「授かり物じゃ、わしらにどうこうできるものではない」
凪はもう寝ただろうか?
孫たちは別の部屋で寝ている、疲れただろうから起きてくることはないだろう。
「ナツが七五三を迎えるまで、海に入れてはいかん」
神棚の方を向いて、酒を供える。
「お守りください」
白くて柔らかい手を握って、声をかける。
「俺が守ってやるからな」
「うぅ‥凪兄‥」
「平気だよ、また明日」
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