繭。1
ある日、僕らは奇妙な物を見つけたんだ。
斗海「?なにこれ?」
それは、ただの蜘蛛の巣で出来た小さな繭のようなものだった。
海斗「なんだこれ?」
斗海「さぁ?でも、小さいね〜!」
サイズは、わずか2.5cm。僕の消しゴムコレクションより小さい。海斗が首を傾げる。
海斗「でもさぁ?こんなのどっから入ったんだ?」
それはそうだ。母さんも父さんも虫嫌いだし、こういう置物とかが合ったとしても、絶対に買わないだろう。
斗海「う〜ん...蜘蛛がいるのかな?」
海斗「げぇ!?最悪〜...どっかに、虫スプレーないっけ?」
斗海「今は切らしてるはずだけど...」
僕らも、母さんに感化されたのか、大の虫嫌い。蝶々とか、小さい蟻も無理なくらいだ。
海斗「とりあえず、捨てようぜ。袋持ってくる」
斗海「あ、うん。」
海斗が、タンスの裏にくっついた蜘蛛の糸の繭を袋で取る。
海斗「...うわぁ!?」
...僕は吐き気をもようし、口元を抑え目をそらす。繭の中は、虫の死体がぎっしりと詰まっている。
海斗「さ、さっさと捨てよう...」
袋に入れるとすぐさまぎゅっと縛って、ゴミ箱へ入れた。僕はあの光景が頭から離れず、トイレで嘔吐する。
海斗「俺でもヤバいんだし、集合体恐怖症の斗海はもっとヤバいだろ...」
斗海「ま、まぁ...」
僕は口元を雑に袖で拭い、苦笑いをする。するしかなかった。
翌日。
友達の礼翔(れいと)が話しかけてくる。
礼翔「聞いてくれよ、こないだうちで変な繭があってさ〜」
え?
海斗「俺んちにもあった!」
他の友だちも「私の家にもあったよ!」「オレの家にもあった!」と手を挙げる。
斗海「僕らだけじゃないんだね」
海斗「だな」
礼翔「虫好きの奴が言うには、『その繭は蜘蛛の家で、そこに食料を溜め込んでる』んだってさ」
食料を...溜め込む。
海斗「それって虫の死体?」
礼翔「おぉ、そうだぜ?よく知ってるな。」
...知ってるも何も...見ちゃったしね。
友達の真弓ちゃんが、天井を指差す。
真弓「ね、ねぇ...天井が...」
海斗「ま、繭?」
それは、大きな大きな繭だった。
礼翔「中身切ってみようぜ!」
斗海「そう。」
海斗「あっそ」
僕と海斗は目をバシッと覆うと背を向ける。
斗海「できるだけ音立てないでね!」
海斗「そうだぞ!俺本気でチビるからな!」
礼翔「チビんな、きたねぇ!」
真弓「ん〜...で、でもハサミでも切れないよ?結構頑丈だね...」
真弓ちゃんがハサミで繭を切ろうと奮闘する。
(ガッ...ガッ...)
それは、ハサミで鉄を叩いているような音だった。
斗海「(そんなに頑丈なの?)」
僕は音を聞いて少し不思議に思った。

