「貴」第三話 闇
貴はその後スクスクと成長し、12歳になった。受験を4ヶ月後に控えた9月の上旬だった。1つ上の兄の春樹が少し早いが合格祈願に絵馬をくれた。どう考えても早いプレゼントに俺は本気で引いた。兄は倍率70倍の中学校を受け、落ちたので倍率2.5倍のところに入ったとてつもないアホ。2.5倍のところは高校で巻き返さないと就職は厳しいと言われているライン。俺の志望は、倍率70倍の兄の落ちたところ。共学で自由なエリート学校だ。春樹は、
「補欠合格だったけど惜しかったなーーーっ。手応えはあったのにもったいないなーー」
いつも通りの独特の口調。これがモテない男か。呆れた
「気分転換に公園にでも行ってきたら?。その方が勉強も捗るぜーーっ。」
気持ち悪い喋り方だと思いつつも、年上の言うこともたまには聞いた方がいいと思い、公園に行った。あんな低学歴のいうことなんて一生信じないが。塾の時間まで後1時間。20分で帰らないと間に合わないので急いでいた。するとその時突然、曲がり角から黒服で銃を持った男が角から飛び出し、なんの躊躇いもなく俺の手首目掛けて撃ってきた。
ーーーーー
気がつけば手錠をはめられ、牢屋にいた。先ほどの黒服の男が俺に気づくと、手錠を外し、
「余計な行動をとったら命はない。なぁに、怪しい組織ではない。何もしなければ手は出さない。」
そう言って、男は牢屋の外に出した。そこは近未来的な建物だった。そのまま着いていくと、会議室のような場所に着いた。すると男は、
「さっきも言ったが、ここで余計な行動をとった場合、即撃ち殺す。ちゃんといつもの生活がどんなのだとか、答えるだけでいいんだ。わかってる。君は十分すぎるほどにエリートだろ?」
エリート?なんのことかと思ったが、死にたくないので冷静でいた。以前舞とヤった時は理性を保てなかったが、今回は理性を保てる自信がある。この4年間で俺は普通より頭がいいことを知ってしまったんだ。だからこの先の自分に期待が持てるんだ。
ガチャ
「おう、来たか。」
8人掛けのテーブルに男が一人。もっと大勢いると思ってたw
「ボス、この子が例の岐阜テッドなんですね」
「ああ。''岐阜''テッドだ。あのIQの高い父の血と、冷静すぎる母の血がいい具合にマッチしている。逸材だよ」
「そうなんですね、、本当に、、、。実験は大成功ですね!!」
「おいアホ。そいつに聞かれてるぞ。本当に使えないやつだ。」
話の全貌が見えてきた。ここはきっと政府だ。父と母のことも言ってたが、きっとここにいるだろう。だが顔も分からないのに想像するのは馬鹿馬鹿しいな。
「最終確認だ。着いてこい」
「はい!!ボス!!。」
ボスっぽいやつに、黒服と俺は着いていってる。今どんな状況?何時なんだ。塾の時間は過ぎたかなぁ...。
「おい小僧!ここに立て」
ボスっぽいやつが指示する通りに動くと、頭に強い電流が流れた。しばらく痺れたが、数秒で元に戻った。横にいるボスっぽいやつを見ると、目を丸くして画面を見ている。
「これはやはりホンモノだ...。いいぞ、十分だ。返してこい。」
「はい!!わかりました!!。」
そう言って黒服は俺にまた手錠をつけ、連れていく。
「待ってろよ政府」
ボスっぽいやつが静かにそう言ったのを、俺は聞き逃さなかった。
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