scp289非公式記録②
「ヒグ、ふええ、お姉ちゃあん!」
「よしよし、大丈夫だよ〜、もう怖いことはなんにもないからね。」
289がボロボロと涙をこぼしている。
「お姉ちゃん、おねえちゃあん!」
「どこにも行かないよ、大丈夫、大丈夫。」
「私は事務作業に戻ります、ジジイは引っ込んでいた方が良いでしょう。」
サイト管理室に戻り、コーヒーを飲む、本当は砂糖を入れたいところだが、気合を入れるにはブラックがいい。
「事務作業も少ないですねえ、なんだかリズムが崩れる。」
以前勤務していたサイトではコーヒーを飲む暇もないほど忙しかったが、久しぶりに休憩が取れそうだ。
「確かに老人には優しいが、なんだかむず痒い。」
ミヤさんと289を見ていると、胸を突かれている気分になる。
「オブジェクトがあれほど普通の少女にみえる日がくるとは、なんとも。」
苦笑いをした。
サイト管理官の職についてから、趣味の散歩をすることも減った、浜辺を歩くのはもっと久しぶりだ。
「海と夕陽、やっぱりいいねぇ。」
タバコに火をつける、Dクラスを無情に消費する財団が、受動喫煙に注意するとは倫理委員会は妙な連中だ。
「お姉ちゃん!ソフトクリームみたい!」
「おいしそうな雲だね!」
彼女たちも散歩をしているようだ、こちらにきているのが少し気まずい。
「あ、おじいちゃん!」
289が走ってきた。
「あまり走ると転びますよ?」
「おじいちゃんもどーぞ!」
ソフトクリームを持っている、現実改変能力を使ったのだ。
「私は結構です、お姉さんと食べなさい。」
「お姉ちゃんにはもうあげたよ?おいしいから一緒に食べよ?」
「そうですか、ではいただきます。」
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