#9 デド
あれ以来マーレーはすっかり私たちのところに仲間入りした。
前からマーレーの隣でわちゃわちゃやっていた取り巻きたちもだ。
今日は一人部屋であるルーの寮室にみんなで集まり珍しく割と真面目な話し合いをしていた。
「俺は突撃隊が白紙になったとしてもまた別の隊ができると思う。」
マーレーがルーの部屋の壁に大きく貼った白い模造紙にここ周辺の地図を書きながら意見を述べた。
地図といっても、もちろん軍から送られてきた物で全く外に出たこともない私たちは外の景色を見たことがないのでこの地図が正しいのかも知らなかった。
私は話し合いの少し離れたところで今日の訓練の報告書をまとめ、ルーは話し合いに少しも参加せずに自分のベッドの上で煙草をふかしていた。
「デドのジュグラーってみんなはどこにあると思う?」
黙っていたルーが急に口を開いた。
「え?えっと…ジュッジュグラーの場所ですか?」
マーレーが突然口を開いたルーに驚きながらも聞き返した。
マーレーはルーが少し怖いのか尊敬しているのか分からないが先輩でも上司でもないのに敬語である。
ルーは黙って頷く。
「んーと…異世界とか?」
マーレーの取り巻きの一人レオラが言った。
「異世界はちょっとキツイぜ、コンピュータのゴミ山とかだと俺は思う。」
同じく取り巻きのムムイがマーレーからマーカーペンを奪って地図の端の方にゴミの山を書いて“ジュグラー”と上に書いた。
「おい、まだ確定してないのに書くなよ!これは真実しか書かないって決めてたのに…」
マーレーがあからさまに落胆してムムイの背中を軽く叩いた。
「真実は誰も知らないんだ。だから現段階ではみんなの言葉が真実だ。」
ルーが吸い途中の火のついている煙草をマーレーに向かって投げながら言った。
「こっこえーっすよ!ボス!」
いいねを贈ろう
いいね
4
コメントしよう!
トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する