#15 デド 最終話
「嘘?何を言ってるんだね君たちは。」
隊長の声はそう言いつつも震えていた。
「研究所の人に言ってください。研究のために嘘を信じ込まされてここに五年も釘付けの私たちの気持ちも考えてくださいって。」
隊長は意外にもすんなりと研究所にダイヤルを繋げた。
次の日首相と共に研究所長などの国のお偉いさんたちが施設に現れて私たちに謝罪をした。
「しかし、君たちの活躍は今後の脳科学の分野に大きく貢献することになることを忘れないでほしい。」
私たちは賠償金と言う類の金は請求しなかった。他の施設の隊員たちは請求したそうだが、人間の脳科学の進歩に貢献した自分達の活躍を誇りに思おうと決めたからだ。それに個人的にお金で物事を解決するのは話が違うと思った。
その後、施設の外に出た私たちは久しぶりに吸った新鮮な空気に感動した。
マーレーは「生きててよかったなんて久しぶりに思えたよ!」と大空に向かって叫んでいた。
ここ五年間デドのせいで息苦しい生活を強いられていた私たちからは最高のプレゼントでもあった。
約一ヶ月間私たちは外界に慣れることや記憶の整理なども含めて研究所で生活したが何にでも感動してしまった。
久しぶりに見たテレビ、雑誌、そして突撃隊員として消えていった仲間たちに再開したのだ。
ペルソナは私たちと同じように記憶修正のために研究所で生活していた。
突撃隊員として消えた大きな理由は薄々嘘に気づいてしまっていたから、らしかった。
ペルソナは元々頭がキレる人だったから仕方ないことだ。
しかし、他にも体の不調や精神的にこたえている人なども突撃隊員に選ばれることで元の世界に戻されていたらしい。
追記 長くなりすぎましたがこれが全てです。子供が大きくなったらあなたの記憶と共に語って聞かせてあげてください。あなたの記憶がなくなっても心の奥に大事なものが残っていると私は信じていますし、これをきっかけにしてその大事なものが花開くと嬉しく思います。
ではまた、お元気で。ペルソナにも宜しく伝えてください。
愛するルーへ アリーシャより
ここまで読んでくださった皆さんありがとうございます。
次回作も宜しくお願いします。