第一話 たんさんすい。【恋愛短編小説】
ーキーンコーンカーンコーン
とても暑苦しい静かな教室に鳴り響く。
放課後、誰もいない教室。
私は静かに一生懸命に走る君を追いかける。
暑い、喉が渇いた。
私は真っ先に自販機に向かい,炭酸水のボタンを押す。ガタッと落ちてきた。
ごく
ごく
喉が炭酸を欲しがっている。
どうやったら彼の特別になれるだろうか。
彼に想いを寄せ始めたのは中二の夏。
夏の暑さでかいた汗が光る彼が炭酸を飲み干す姿に見惚れた。
好きな人になってはいけないとわかっていたのに。
私はきっと、彼のキラキラと輝く水に無数の泡のうちの名もなき泡として溶けている。
彼のその美しい水に溶けたい。
ー『ねぇ、君,炭酸好きなの?』
心臓が高鳴ってる。
『っっはい…』
しっかり言葉を発することができないのはきっと炭酸のせい。
いつもとは違う特別な夏が始まる
いいねを贈ろう
いいね
7
コメントしよう!
トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する