7月のエンディング【終】
東町総合病院で志穂が自殺を図った。
結果は失敗。でもこのせいで病状が悪化した。
そんで、死んだ。
志穂の遺書だってあった。
本当に死ぬつもりだったの志穂を思うと胸の奥を締め付けられた。
『私の大好きな家族そして祐希へ
病気で苦しい。
辛いんです
だから死ぬことにしました
骨になる前にラムネをぶっかけてください
志穂』
素っ気ない文だけど俺にはすごく響いた。
社会の不満に喘いでるわけでもないし。
骨になる前にラムネをぶっかけることくらいお安い御用だった。
*
「志穂、じゃあね」
火葬をする前に志穂の顔を見ていた。
色白の美しい少女だった。
ラムネをかけなければ志穂はまだこの世に存在するような気がして少しためらった。
「祐希君、よろしくね」
俺は綺麗な水色の透明な瓶を開けて、志穂の顔にかけた。
これでよかったのかは知らない。誰も、俺も志穂も。
ただ最愛の人を、世界で誰かに愛されている人の死を悼むしかなくて、涙が止まらなかった。
ラムネ瓶からたれ落ちた最後の一滴が俺の涙と重なった。
いいねを贈ろう
いいね
6
コメントしよう!
トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する