誰かをころしたひと。
ぼんやりだけどカニバ注意
。。。。。。。。
憐れにも囚われてしまった彼は言いました。
「どうして貴方がたが怒ってらっしゃるのです?」
「ああ、怯えてらっしゃるのですね」
ふふ、とその整った顔立ちを歪ませ、笑いました。
「理由?私の行動に、理由なんて必要ですか?」
「__ええ、仰る通り。何となく、ですよ」
冷たく暗く狭い部屋に入れられても、大声で怒鳴られながら殴られても
彼はその相貌に宿した笑みを崩しませんでした。
時間だけが悪戯に過ぎ、核となる事実なんて、一欠片も出てきやしません。それもそのはず、全て彼が食べてしまったのですから。
「そいつら」が彼を繋ぎ止めておくのにも、時間には限りがありましたから、彼が解放されるのはもうほんの一寸先のことでした。
最後の日。彼が「そいつら」のうちの一人に呼び止められました。
『何か最後に言うことくらいないのか。自白すれば罪は軽くなるんだぞ、”殺人鬼”』
火を見るよりも明らかな殺意を前に、彼はついに、その相貌に乗せた仮面を剥いでみせたのです。そして、その貼り付けた様な笑みからはとてもとても想像できない表情で彼は言いました。
「強いていうならば……ほんの少し、興味が満たされた、とだけ」
『彼はその相貌に宿した笑みを崩しませんでした。』…?
__否、崩せませんでした。
何故なら彼は……この世界に、とてもとても退屈していたのでした。
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