【政党を見る①】立憲民主党編

7 2021/08/10 18:02更新

一応日本の「最大野党」であるにも関わらず、世論調査での支持率は約3%と、「自民一強他弱」の象徴ともいえる存在、立憲民主党。かつては反自民の一大ムーヴメントを引き起こし、政権交代を実現した旧民主党の生まれ変わりである。かつての栄光はどこへやら、低迷を極める最大野党について見ていこう。

立憲民主党の歴史


先ずは立憲民主党の軌跡について見ていこう。立憲民主党の源流は1980年代に遡る。

 リクルート事件を機に自民党内の一部で政治改革の機運が高まる中、与野党からの反発もあり、海部内閣での政治改革四法は廃案に追い込まれることになる。宮沢内閣でも政治改革四法は否決され、自民党内では対立が生じる。

 小沢一郎、岡田克也など改革推進派は、自民党を離党し新たに「新生党」を結成する。同年、首相の宮澤喜一は衆院を解散し総選挙に踏み切るも、過半数割れした自民は政権から転落。社会党、公明党、日本新党など野党八会派による非自民・非共産連立政権が成立し、55年体制は終わりを告げる。

 同選挙では、枝野幸男、野田佳彦ら後に民主党・立憲民主党の主要メンバーとなる議員が日本新党から多数初当選した。

 その後合併吸収を繰り返し、1998年、「民主党」が結党される。

 時は飛んで2009年。リーマンショックに有効打を打てずにいた麻生政権は、マスコミ等のネガキャンも相まって支持率を急落させていた。同年7月、麻生は衆院解散の意向を表明するも、NHKの世論調査では政党支持率で民主党が自民党を逆転するなど、自民党には強烈な向かい風が吹いている状況であった。

 同年7月21日、衆院が解散され、事実上の任期満了選挙に突入する。当時の民主党党首、鳩山由紀夫はこの選挙を「政権交代選挙」と銘打ち、連立をみすえる社民党・国民新党と合わせて過半数の議席確保を目指した。結果、民主党は自民党に歴史的大勝をし、政権交代が実現する。

 政権を奪取し成立した鳩山内閣は当初70%を超す高支持率でスタートを切る。しかし、鳩山と幹事長の小沢の「政治とカネ」問題が浮き彫りになり、世論から反発を受けることになった。また、アメリカ軍の普天間基地移設問題に関し、「最低でも県外」と明言していた鳩山は、アメリカ及び沖縄が合意していた「辺野古移設案」を白紙に戻し、県外・国外移設の道を探っていたが、移籍先を見つけきれず、これを断念。失望した沖縄は現行案の「辺野古移設案」の受け入れを撤回するなど問題は大きく後退することになる。この他、野党時代の民主党の主張と、与党としての民主党の能力や政策との乖離が徐々に明らかになるにつれ、鳩山内閣への国民の不信はピークに達し、来る参議院選挙では20議席台に留まるという衝撃的な事前調査も明らかとなる。鳩山は事態打開のため、一連の問題の責任を取る形で首相を辞任した。

 新たに発足した菅内閣では、民主党内の激しい対立が露呈することになる。小沢を中心とした小沢グループと、菅を中心とした反小沢で党内抗争が勃発し、しばらく政局混乱が続いた。その他、尖閣諸島中国漁船衝突事件、東日本大震災への対応失敗などにより菅は徐々に求心力を失い、8月26日、菅は退陣を表明する。

 続いて発足した野田政権でも混乱は続く。失言、政治とカネ、公職選挙法違反問題など、閣僚から様々な問題が頻出する。野田の求心力は低く、党内から多くの離党者、造反者を出し、民主党勢力は一気に弱体化する。各社世論調査では支持率が低迷し、2012年11月、党内の反対論を押し切って野田は衆院を解散。第46回総選挙が行われ、民主党は解散前の230議席を大きく下回る57議席になり、大敗北を喫した。

 民主党は下野。1198日の短い政権が、終わった。

 2016年、かつての勢いをすっかり失った民主党は、維新の党と合併し、新たに「民進党」としてリスタートを切る。

 しかし、党内での政策不一致が相次ぎ、合併政党の脆さが再び露呈する。

 2017年、衆院選を前にした民進党では党代表の前原誠司を中心に小池百合子率いる「希望の党」への合流への機運が高まるが、小池が候補者としての公認要件を満たすかどうか議員を個別に審査し、状況次第で排除することを宣言。これに反発した当時の民進党代表代行枝野を中心に新たな政治団体、「立憲民主党」が設立された。

以上が、立憲民主党が歩んできた歴史である。ここまでの長文を真面目に読んだ人ならお気づきと思うが、立憲民主党は「分離と合併」を繰り返してきた政党だ。後述するが、私はここに立憲民主党の大きな問題が隠されていると思う。民主党政権の失敗により、一気に国民の信頼を失った民主党だが、気になるのが現在の立憲民主党の上層部と、民主党政権の上層部との顔ぶれがほぼ変わらないという点だ。これこそが「一見民主党」と揶揄され、10年近く時が経った今なお、国民の信頼を取り戻せていない理由のひとつではないだろうか。国民の期待を裏切った民主党政権幹部が、いつまでも党幹部の座に居座り続け、新たなニューリーダーも出てこない。先述の通り、合併政党であるが故に党が一枚岩にまとまらず、与党時代には多くの造反者を出し、政権運営は混乱した。失敗の反省点を生かせず、国民民主との合併を巡っても、同じ失敗を繰り返そうとしている。このような状況では、政権交代はおろか、政権批判票の受け皿にもなりえない。

立憲民主党の政策


ここからは立憲民主党の政策を批評していこう。

立民の政策の軸となっているのが「支援」だ。立民HPの「基本政策」にも「支援」「援助」の言葉が並ぶ。要するに立民は「大きな政府」、「福利厚生国家」を目指しているといえるだろう。気になるのは「大きな政府」論者であるはずの立民が減税を訴えていることだ。ご存知の通り、福祉の拡充には「金」がいる。北欧の福祉国家の消費税が20%を超えることからわかる通り、「大きな政府」に増税は付き物なのだ。特に、少子高齢化が進む日本では高齢者支援を進めるため、働く世代への負担増が免れない。にも関わらず、減税を謳うのであれば、「支援」に使う財源はどこで確保するのか。ここをしっかりと示せない限り、立民はただ自民党のやることの逆張りをするだけの価値のない政党であり続けることになるだろう。

立民は憲法9条改正に反対の立場をとる。HPには「立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行います。」とあるが、立憲民主党は憲法審査会には出席しない。ここは立憲民主党の最大級の汚点の1つと言えるだろう。聞こえの良いことばかり言って、行動が伴わない姿は、やはり、旧民主党を彷彿とさせる。

特に気になるのがHP「基本政策」の中に、「国会と地方議会の改革を推進します」「国民の政治参画の機会を拡大します」「インターネット上の差別や誹謗中傷への対策に取り組みます」「国民生活を守る立場をより明確にする観点から警察行政のあり方を検討します」のような「どのように」「どんな手で」が欠けている政策が散見されること。例えば警察行政については「検討する」と言っても具体的に「どこを」「どうするのか」は全く分からない。これでは警察の権限を強くする可能性も、弱くする可能性も考えられるため、有権者は混乱する。

基本政策には「思想・信条の自由を侵害し監視社会を招く「共謀罪」を廃止します」というものも含まれている。「共謀罪」とは所謂「テロ等準備罪」のことだ。施行から4年が経ったが、果たして当時主張されていたように「居酒屋で冗談も言えなくなる」ことはあっただろうか。

そして立民の政策で私が最も問題視するのが「皇位の安定的継承と女性宮家の創設にむけて国民的議論を深めます」というものだ。「女性宮家論」は言ってしまえば「女系天皇論」だ。これについてはシリーズが終わってから詳しく記事にしようと思うが、ここでわかりやすくヤバさを伝えておこう。女性宮家が創設されると、「小室Kが皇族になる。」もう一度だけ言う。「小 室 K が 皇 族 に な る 。」

ダブルスタンダードと疑惑


 私は立憲民主党を支持していない。その理由は、政策がグダグダなのと同じくらい、立憲民主党がダブルスタンダードな政党であるというところが大きい。

 断言するが、今の立民は政権与党になる気がない。今の立民がやっているのは、ただの「アンチ自民」であって、そこに論理性はない。

例を挙げよう。菅首相が就任して間もない頃、日本学術会議問題が浮上した。日本学術会議は国の機関で、首相に任命権があるが、立民は首相に任命拒否の権利はないとして任命拒否の撤回を求めた。しかし森喜朗氏の失言問題になると、民間団体である東京五輪組織員会に対して森氏を辞任させるよう首相が求めるよう要求した。自民党の反対ができればいいという姿勢の表れである。

 さらに立憲民主党には辻元清美という元犯罪者がいる。彼女は過去に詐欺で逮捕され、有罪判決を受けている。そしてその元犯罪者が副代表を務めているのが立憲民主党という政党なのだ。

 

まとめ


「立憲民主党」という党名を名乗っていながら、実質的には失敗の民主党となんら変わらず、ただの「アンチ自民」を貫いている立憲民主党。吸収合併を繰り返し、党内は一枚岩でない。党運営もままならない政党に、国家運営ができるはずがない。大きな政府を主張する割には、減税を訴える非現実的な政策。皇室の歴史を壊す「女性宮家」の創設を主張し、テロを防ぐための法律に反対する。ダブルスタンダードを繰り返し、元犯罪者が副代表を務める。このような低レベルな政党が野党第一党であることが、自民一強体制をつくり、緊張感のない政治を生み出している。正直言って、投票するに値しない政党だろう。(終)

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政治と経済2021/08/10 17:57:35 [通報] [非表示] フォローする
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参考文献
Wikipedia立憲民主党
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%8B%E6%86%B2%E...

立憲民主党HP
https://cdp-japan.jp/


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