学校1の美少女がなんの取り柄もない俺に一目惚れ!? #8 デジャヴ?
翌日、重い足取りで家を出て、またあの交差点へ差し掛かった。
「……」
思わず足が止まる。
だがその角から出てくる者は居なかった。
偶然とは分かっていたけど、残念だという気持ちが心に溜まる。
カタ
私が歩き始めたのと同時に音がした。
音の鳴った方へと顔を向ける。
そこには、昨日よりももっと近い位置に立っている光一郎がいた。
顔と顔の間はどう見ても30センチ以下だ。
「……ッ!………」
熱くなる顔、恐らく今、私の顔は真っ赤だろう。
だって、自分の初恋の相手が、至近距離にいるのだから。
本当にズルい。
その顔、声…
全てが文句なしなのだ。
私は早歩きで歩き始めた。
このままあそこにいると、おかしくなりそうだ。
1日中光一郎くんのことしか考えれなくなるかもしれない。
それは…いやではないが、もし、関係が築けなかった時に後悔するだけだ。
逃げるように教室に転がり込んだ。
「おはようー。」
友人が私に微笑んで言う。
「おはよう。」
唯一の私の友人だ。
…相談、した方がいいのかな。
でも、こういうのは自分でやってみた方がいい気がする。
1回くらい、アタックしてもいいんじゃないかな。
**
…また鉢合わせするかもな、いや、さすがにないか。
まったく運がいいのか悪いのか。
少し立ち止まっても誰も来なかった。
ほれみろ。
遅刻するぞ。
俺は歩き出した。
すると、角から誰かが歩いてきた。
それは、なんと優梨奈だった。
以前よりも顔と顔との距離が近かった。
優梨奈と目が合う。
突然、優梨奈の顔が真っ赤になり、走り去って行ってしまった。
顔が近かった。
ほんのそれだけで、俺の顔も赤くなったのだから。
俺は優梨奈の風になびく紫色の髪が見えなくなるまでそこを動けなかった。
優梨奈のあんな顔は初めて見た。
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