ELGAMA #9 ルガンデ編
「知ってるか?国の境には結界が張られてあって、そこには強い番人がいるってこと。だいぶ前に真帝王が手配してた。」
果てしなく続く草原を歩いていると、エリントは言った。
「え?知らないけど…またアケラルフラッシュすればいいんじゃない?」
あれほどの威力なら、いくら強くても傷を負わせることはできるだろう。
「バカ言うな、真帝王を倒すってのに番人ごときに必殺技を使っちまって、勝てるとでも思ってるのか?そもそもそんな大技なんべんも打てるわけがないだろ、だって、お前、考えろ、そんなに使ったらお前の体が木っ端微塵になっちまうよ。」
エリントが当たり前のように言う。
確かにエリントの言うことも理解できる。
「それじゃあ、ルガンデの結界を守ってるのは誰なの?」
「えーとな、アンドロヨイムじゃなかったかな、あの、でっけぇドラゴンさ。」
聞いただけでもう強そうだ。
「んで、ルガンデを抜けると、ルミアナに着く、ルミアナは国丸ごと城と城下町だ。ありゃあ、でかいぞ。一度は行くべきだな。」
エリントが時々入れるどうでもいい情報を左耳から右耳へ聞き流しながら、レイスは説明を聞いた。
「んでだ、まずはヤツを倒すかだな、アイツは俺たちでも手に負えたもんじゃない。扱えるのは真帝王だけだろうよ。」
レイスはその後にエリントがレイスに真帝王の悪口を言ったのを無視し、(真帝王のヤツ、口がむっちゃ臭いんだぜ。ありゃあ兵器だ。)気になっていたことを聞いた。
「そのアンドロヨイムはどんな攻撃をしてくるの?」
「えっとな、確か風攻撃を主に使ったような、使わないような。風攻撃は、ほら、トルネードとか、そんなやつだ。」
風攻撃なら大丈夫そうだ。
レイスの心が少し軽くなった。
「風なら大したことないんじゃないの?」
すると、エリントは驚きに目を見開いた。
「本気で言ってるのか?ヤツの風攻撃は岩をも砕き、魔法は打ち消す、強〜い風を起こすんだ。」
「え、そんなに強いんだ。」
エリントは、なにも知らないんだな、とでも言いたげな顔をして言った。
「おまえ、そんな知識ゼロで大丈夫なのか?」
「ウーン、大丈夫じゃないね…」
「いいか?ルガンデの結界を破るには、アンドロヨイムを倒さなくちゃいけない、でも、お前のアケラルなんとかは使えない、そして俺でも倒せない…それが今んとこの現状だ。」
エリントは淡々と述べたが、実際は大問題である。
レイスも、エリントもアンドロヨイムを倒す手段を持っていないということだ。
「確か、学者のフェリオスアン•イリエンセってヤツが、ルガンデに研究所を設けてたとかそんな噂がたってたぞ。探したらなにかあるかもな。」
レイスの頭の中に記憶が蘇った。
________エベウプ:ジェリス12デラ頃に学者フェリオスアン•イリエンセが発見:エベラント:ジェリス24デラ頃に学者フェリオスアン•イリエンセが発見_____
「その人って、エベウプとエベラントを見つけた人だよね。知ってるよ。」
「あぁ、そうさ、しかし…プレク村人が知っているとは思わなかったな。おバカさんなのに、おっと、やめよう、また殺されちゃ敵わない。」
その学者の研究所があったところで、薬草の勉強をするだけなのに、なぜ探す必要があるのだろうか。
「お前、今探す必要なんかない、って思っただろう、彼が見つけた植物はその2つだけじゃない、もっと見つけてるし、魔法攻撃の研究もしていた…つまり、もしかしたら魔法攻撃を学べるかもしれないということだ。」
なるほど、それならメリットが沢山だ。
だが、レイスの中で1つ気になることが浮かんだ。
「アンドロヨイムって…風攻撃で魔法を打ち消すんじゃなかったっけ…」
エリントはこちらを向いたまま固まり、どんどん顔が青ざめていった。
「そ、そ、そうだったな、そういや…いや、でも、もしかしたら、あの偉大なフェリオスアン•イリエンセだし?打ち消されない魔法の1つや2つ開発してるよ!きっと…」
エリントの声は、自信のなさから、最後の辺りは小さかった。
10話↓
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