ELGAMA #10 イリエンセの研究所 ルガンデ編 #2
可能性のなさを感じながらも、二人はイリエンセの研究所をさがすことにした。
「真帝王がしばらく前に見つけてたんだけど、イリエンセは研究所のありかを謎で隠してるらしい。それがこれなんだが、ああ、すまん今行くよ。」
森の中をしばらく探し回り、辺りの木が白っぽくなってきたとき、遠くからエリントがやって来た。
エリントは手に持っていた紙切れをレイスに差し出した。
「『闇の世の麓で白き光が出ずる、それを4つばかり叩けば求めしもの出ずるなり』」
レイスが声に出して読み上げた。
「この謎を解くのは難しいと思う。考えたのが、研究者なんだから。」
「まぁ、そう一筋縄にはいかないだろうね。」
「でも、闇の世って一体なんのことだ?」
解いてみるとなると話は別で、とても分かったものではない。
どうしても謎が解けず、当てずっぽうでしばらく探すも、一向に研究所は見つからなかった。
「ねぇ、やっぱり謎を解かないと無理じゃない?当てずっぽうなんて見つかんないよ。」
「何言ってる、あんな謎、解ける訳ないだろうが。頭を使え頭を。」
レイスはそこじゃなくて謎を解くのに頭を使った方がいいのでは、と思ったが口には出さなかった。
エリントが少し気が立っているようだったからだ。
「まぁ、それはともかく休憩しようぜ、もうへとへとだ。」
二人は、そばにあった切り株に腰掛けた。
下半身の疲れがどっととれた。
「今度は一回洞窟を探してみるか?あそこ、そんなに広くないし。」
エリントが額の汗を拭きながら言った。
二人は、見つかる可能性のなさを確信していながら、探すのをやめることはなかった。
だが二人の苦労も無駄になった。
洞窟にも研究所はなかったし、隅々まで仕掛けがないか調べた。
「もしかしたら、ないのかもな…取り壊したとか?」
洞窟から出ると、太陽はもうすっかり姿を隠していた。
「あれっ、オレたち、そんなに長い時間洞窟に居たっけ。」
「結局、見つからなかったけど。」
あまりの成果のなさに二人は肩を落とした。
すると、レイスの目になにか白いものが見えた。
その白いものが見えたのは、なんと森だった。
「エリント!あそこだ!今も光ってる。あれが白き光が出ずる所だよ!」
「え?どこだ?」
エリントは辺りを見回して探している。
「ついて来て!」
レイスはエリントの手を掴み、光に向かって走り出した。
木の周辺に来ると、その光が一層大きいというのが分かった。
「ワオ、こんなに光ってるんだな、世が闇に包まれる、ってのは夜のことか。」
レイスは木の幹を四回叩いた。
コンコンという音が辺りに広がり、その直後に地面が音もなく開いた。
あまりにも音がなかった為、レイスはそれに反応できなかった。
足下の地面がなくなり、レイスは地面がなくなって出来た穴に見事に落ちてしまった。
「ヤッタ!レイス!喜べ!本当にあったぞ!」
エリントは、レイスの過酷な状況をそっちのけで喜んでいた。
地下の冷たい空気が頬を優しく包む。
時間が経つにつれ、冷気は頬に激しく吹きつけ始めた。
空を飛ぼうとでも思っているように手足を動かして必死にもがくも、落下のスピードは遅くならなかった。
少し下に、何かが見えた。
それは、地面だった。
あの高さから落ちれば軽傷では済まないだろう。
そして、レイスは地面に思いっきり体を打ち付けた。
不思議と痛みはなかった。
辺りは闇に包まれている。
レイスは上を見上げた。
青い空が小さな点になって見えた。
「大丈夫か?」
エリントの声が微かに聞こえる。
「落ちたけど、痛くないから大丈夫だよ!」
レイスは声を張り上げて言った。
エリントは返事の代わりに、穴に飛び込んだ。
レイスの目に写っていた黒い点が少しずつ大きくなる。
レイスは少し後退りした。
レイスの前に勢いよくエリントが落ちてきた。
「ほんとだ、あんまり痛みは感じないな。」
「でもちょこっと足を挫いちまったかもな。」
エリントは顔を歪めながら言う。
「それにしても、暗いな。どうするよ。お前、なんか明るくなる魔法使えるか?」
「プレク村人がそんなの、使えるわけないでしょ。」
この暗さをどうするかの議論で、エリントの案はどれも参考にならなかった。(んじゃ、これはどうだ、お前がずっとアケラルフラッシュを打っとくとか、その間に照明のスイッチを見つけるから。)
「しょうがない、これを使うか。」
エリントが小さな声でなにか唱え始めたかと思うと、突然エリントは声を張り上げ、唱えた。
「『ジュドイン!』」
辺り一面が、太陽の近くに来たかのように橙色に明るくなった。
「早く!スイッチを探せ!」
エリントは、初めて見る魔法に唖然としているレイスに向かって言った。
レイスは壁際にあったスイッチを見つけ、走り寄った。
丁度その時、魔法の効果が切れ、部屋がフェードアウトし始めた。
レイスは、部屋が暗くなってゆく中、スイッチを押した。
今度は照明の影響で部屋は白色になった。
だんだんと目が慣れてきたとき、レイスは目の前に広がった景色に驚いた。
**
[ラ•ビエンダ32デラ]真帝王閣下様
先日言っておりました、プレク村人ですが、無事捉えました。
計画通り行っています。
つい先程、イリエンセの研究所に案内したところです。
やはりプレク村人は簡単に騙されました。
まだ私のことを、
仲
間
だ
と
思
っ
て
い
る
よ
う
で
す。
ここに、服従の敬意を誓い
フデレスト•エリント
#11↓
[しばらくお待ちください( ̄▽ ̄)]