ELGAMA #15話 ルミアナ編 #3
戦闘が始まった。
両者共に剣を取り出した。
「お前は、真帝王様を裏切った!許せる存在ではない!」
「真帝王はろくに作戦も立てれんただのバカだ。あんなヤツについていっていた自分を不思議に思う。」
エリントは挑発するように言った。
「黙れ!」
フォーサーは両手を突き出し、魔法を打った。
乱光雑法だ。
巨大な闇がエリントに迫る。
エリントは剣を構え、闇の光雑法を繰り出す。
闇同士が激しく当たり、波動が周辺に広がる。
「あの方は作戦を立てるのがお嫌いなんだ。あの方は奇襲を仕掛け、どんなことにも対応なさるから作戦なんか必要ないんだ。」
「違うな、頭が悪いから作戦を立てれなくて、それは真帝王がただ力があるだけで、言い訳に過ぎん。」
エリントがまたも挑発する。
フォーサーは腹を立て、剣を思いっきりエリントに振り下ろした。
エリントがひらりと避け、フォーサーは体勢を崩した。
「バカだな。お前も。」
エリントは剣の持ち手側をフォーサーの後頭部に当てた。
フォーサーは倒れた。
「くそ…」
立ち上がろうとしたフォーサーの目前にエリントは剣を突きつけた。
「いいのか?俺を殺すなら、レイスも殺すことになるぞ。」
エリントの目に少し戸惑いが見えた。
「俺の勝ちだな、俺がやめない限り絶対にレイスは救えない。」
________どうすれば…
エリントは考えこんだ。
________どうすれば、レイスを助け出せる…
《大丈夫だ。》
エリントは心の中で驚きの声を漏らした。
________アケラル•ドラゴン…レイスはどこだ?
《ヒュレルでよいぞ、レイスはフォーサーの心の檻に閉じ込められている。》
________ヒュレル、ならどうすればレイスを助け出せる?
《大丈夫だ、閉じ込められている場所は彼の心の中だ、その心さえ捕まえることができれば救い出せる。》
エリントはヒュレルとの会話を終えた。
「おいおい、まさか殺さねぇよな?」
エリントは黙って剣を振り上げた。
「おい、待て、落ち着け…」
エリントにはまったく情けがなかった。
剣に闇を纏わせ、剣を振り下ろす。
フォーサーの体に闇が入り込み、闇は魂を体から引き離す。
フォーサーの目に光がなくなり、その場に崩れ落ちた。
フォーサーから、ふわふわとした物が出てきた。
エリントはその物を、心を、手の中に収めた。
心から光が出る。
「そこにあるお前の体の所に行け。」
光はレイスの空っぽの体に入り込んだ。
うつ伏せだった体がピクリと動き、起き上がった。
起き上がったレイスは、確認するように手や足を動かしていた。
そして、エリントの方を見て言った。
「戻ったの?」
「ああ。」
「もうアイツはいないの?」
「そうさ、もういない。」
「なら、僕はもう、自由なの?」
レイスの目から一筋の涙が流れた。
「ああ、もう、自由だ。」
エリントの目からも涙が流れた。
二人はその場で抱き合った。
「ありがとう、エリント。」
「お安い御用さ。」
何分間そうしていただろうか。
エリントが「帰ろう」と言い出し、二人はルミアナへと帰った。
15話↓