ELGAMA #19 ルミアナ編 #7 街のはずれに
「それで、どうして街がこんなにも荒れてるの?」
ミアが辺りを見回して言った。
何も覚えていないようだ。
回答に困るのも無理はない。
「あ〜、それはだな…」
エリントが気まずそうに目を泳がせて言葉を濁した。
そしてチラッとレイスの方を向いて助けを求める。
________……………ここは目を逸らしておこう……
「えぇと、それは、そう、俺がさっき転んだんだ。俺ってドジだしさ。」
エリントが、さすがに無理のある言い訳をした。
________そんなんで誤魔化せるハズがないじゃん……
レイスは心の中で溜息をついた。
「え?そ、そう…?随分と沢山転んだんだね。」
「あ、そうそう。ハハ…」
まさかの誤魔化し成功だ。
「それで、エリント、ルミアナのゲートは誰が守ってるの?」
「ルミアナの騎士だと思うぞ、ここだけは真帝王も手を出してないし。こんなとこに乗り込んだら最期、そいつは王の魔法でドカンだ。」
ルミアナの騎士ならば、すぐに通してくれるだろう。
真帝王を倒そうとしている者を止めたところでメリットはない。
レイスは安心した。
先頭のエリントに続き、一行は街のはずれの森に足を踏み込んだ。
「なんでここだけ何もされてないんだろうな。お陰で俺たちゃ枝に顔を引き裂かれっぱなしだ。」
エリントが毒づく。
つい先程木の幹で転んだせいもあって気が立っているのだろう。
「いてっ!」
エリントがまたも木の幹に足を躓かせた。
「ほんとにドジなんだね…」
ミアも苦笑いだ。
「何回転んだら気が済むの?」
「俺に聞くな、好きで転んだわけじゃない。」
エリントがムスッとして言った。
完全に不機嫌モードに入ってしまった。
「まあ、敵には転ばないようにすりゃ問題ないだろ?」
エリントが得意そうに言った。
上手いように言ったつもりだろう。
「そうだね…」
そう言ってレイスとミアは顔を見合わせた。
「さて、この森を抜けたらゲートだぞ?次の国に行く準備はできたか?」
エリントはすぐさま空気を切り替え、先に走って行ってしまった。
「アイツ、ホント自由だね。」
エリントが見えなくなったとき、レイスが言った。
「元気なら、いいと思うよ。」
ミアがフォローする。
ミアの心の広さに驚くレイスだった。
**
森をしばらく進むと、エリントの背中が見えた。
「どうしたの?エリント。」
レイスが声をかけると、エリントは振り返った。
「スゴくねぇか?この奥。」
「奥?」
エリントは二人に見えるように横に退いた。
二人は目に入ってきた光景に目を見張った。
「これは…」
二人の目の前に広がっていたのは、大きな大樹だった。
そして、大樹が根を張る大地は三人の立つ場所と崖を挟んだ所に位置していた。
崖の下には川が流れているが、あまりの透明度に川と判断しずらかった。
「こんなところがあったんだね。」
ミアもレイスと同じくピルミから一度も出たことがない。
だがレイスの頭には疑問が浮かんだ。
「エリント、ルミアナは国丸ごと城下町なんじゃなかったの?」
レイスはルガンデにいたとき、たまたまその話をエリントにしてもらった。
「そのハズだったんだ。でも、実際にはこんなとこがあったんだ。でも、地図にはこんなところなかったぞ。」
鳥のさえずる声が聞こえる。
心地よいリズムだ。
「どうする?降りるか?この高さから落ちたら確定でお陀仏だがな。」
「でも、この先にゲートがあるんでしょ?」
「それは、まあ断言はできない、けど、あると思うぜ?」
ゲートがあるなら、進まない他の選択肢はないだろう。
「じゃあ、降りるしかないんじゃない?」
エリントはコクリと頷いた。
「えっ!?」
声をあげたのはミアだ。
「しょ、正気で言ってるの?こんな高さから落ちたら終わりよ!」
「ん、まぁ言われてみればそうだな。」
「言われてみればって、エリント自分で「確定でお陀仏」って言ってたじゃん。」
「は?言ったっけ?てかお前も「降りるしかないか」って言ったじゃねえか。」
「飛び降りるって意味なわけないよ!」
「もぉ、紛らわしいこと言うなよな。」
レイスとエリントの息継ぎの暇もない高速の言い合いは終わりを遂げた。
「まず、下にどうやって降りればいい?」
エリントが言った。
「なら、向こうに見える滝から落ちるとか?」
「そりゃお前、下に落ちる速さが変わるだけだ。ムリ。」
レイスの意見をエリントがピシャリと却下した。
「ヒュレルに乗って運んでもらうとか。」
「それは…」
エリントは言葉を濁らせた。
「いいじゃんそれ、グッドアイデア!」
19話↓
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〜〜〜〜〜〜〜
エリントがサンズっぽいとか気のせいだぞ。
トピ画手書きなんだけど、タブレットで書いたからちょっと落書きみたいでごめんw