ELGAMA #23 アリゴ編 #2決別
ミアが強かったのはあくまでも操られていた時だ。
正気を取り戻した今、彼女に力はないだろう。
「ダメだ!エリント、戦っちゃいけない!」
「なんだレイス、弱音か?」
レイスが必死に呼びかけるも、エリントには伝わらなかった。
エリントがフェルグに飛びかかった。
そして、互いの剣が当たる音が辺りに響く。
ミアはただその場に立ちすくんでいた。
目の前に広がる戦闘の光景に、怯えている。
ミアは、女性だ。
戦うような体にはなっていない、ましてやミアはそんな性格でもない。
すると、フェルグは狙いをミアに切り替えた。
一番勝てる可能性の高い者から狙うつもりだろう。
「ミア!」
レイスはすぐに反応し、ミアに向かって走り出した。
「チッ!そっちを狙うか。」
エリントも加勢する。
レイスがどう足掻いても、フェルグの素早さには敵わない。
だがエリントは違った。
フェルグとほぼ同じようなスピードでミアの方に向かっている。
フェルグが斧を振り上げる。
ミアの目に恐怖が浮かぶ。
レイスは思わず目を瞑った。
何かが擦れる音。
目を開けてみると、エリントがミアを後ろ手に庇うような態勢で座っていた。
エリントの腕からは血が流れている。
だが傷は浅いようだ。
エリントのすぐ目の前には、フェルグが突き出した斧があった。
「よくその実力で挑めたもんだ。」
フェルグは冷たく言い放つと、その場を去って行った。
長い沈黙。
聞こえるのはエリントの荒い呼吸のみだ。
「…ごめん。」
沈黙を破って、ミアが声をあげた。
「私が変なこと言わなかったら、こんなことにはならなかったよね…」
「ああ。」
エリントはそう言うと、腕を押さえながら立ち上がった。
「っ!その傷…」
「もういいよ。」
エリントは顔を見せようとしない。
先程まで暑かったはずの森は冷たい風が流れている。
「お前ら、いつまで平和ボケかましてんだ?」
いつものエリントとは違う、鋭い言葉。
氷のような風が頬を伝う。
「『戦っちゃいけない』?冗談じゃない、真帝王相手にそのルールが通用するとでも?」
「人を傷付けることになんの躊躇もない、あの悪の結晶に、通用するとでも?」
エリントがこちらを振り返った。
冷たい表情。
「戦えもしないザコのくせに、キレイごとばっか言うなよ。」
エリントは、こちらを振り返りもせず、去って行ってしまった。
凍えるような風が頬を伝い、レイスの目に氷を作ろうとしている。
仲間の絆が、今、崩壊しようとしていた。
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✌︎('ω'✌︎ )傑作の自身ありき!
エリントの後半のセリフめっちゃ迷った〜w
23話↓