ELGAMA #31 アリゴ編 #10 再戦への決意
傷を癒した三人は、敗因を確かめることから始めた。
「まずだ、パワーの差が問題だな。」
「あのパワーは凄まじかったね。」
剣を持っている腕ごと吹き飛びそうなほど、ブレデウルのパワーは絶大だった。
パワーの差をどうにかしなければ、勝利は厳しいだろう。
「あれ、お前たち何してる、まだ作戦会議か?随分とのろまだな。」
そこに通りすがったのは、フェルグだ。
エリントの顔に焦りが浮かぶ。
「あぁ…うん、まだなんだよ。ハハハ…」
咄嗟に言い訳をするも、フェルグは鋭い。
「まさか、負けたんじゃないだろうね。」
「そ、そ、そ、そんな、こと、な、ないよ?生きてるし。」
エリントが言葉を濁らせる。
これではバレバレだ。
「まったく、幸い見逃して貰えたんだね?ウソは通用しないよ。」
フェルグの顔は、真剣そのものだ。
その顔を見て、エリントも態度を変える。
「ああ、なぜだと思う?」
「おそらく、ブレデウルはああ見えてあまり他人を傷付けたくないんじゃないかな。」
フェルグが顎に手を当て、言った。
エリントは唖然として言った。「傷付けたくない?アイツ、俺の背中を剣で切りやがったんだぞ?」
「アイツにとっての『傷付ける』は、人を殺すことだ。他人の命を奪うと、自分の魂の欠片が相手に注がれ、相手と一緒に失ってしまう。そして弱体化していく。」
エリントがゴクリと唾を飲んだ。
「なら、なぜ、真帝王は他者を殺せるんだ?殺したら弱体化するんだろ?」
「それはまだ分かっていない。諸説あるが、自分の魂の欠片が相手に注がれるのは、罪悪感の表れと言われている。
つまり、真帝王は他者を殺すのに罪悪感の一つも感じない、と考えるのが妥当だろう。」
やはり、真帝王は只者ではない。
出鱈目に強いだけでは長い間強くいることは不可能だ。
しかし、真帝王はそれを可能に変えてしまった。
罪悪感により弱体化はしないのだ…
レイスは思った。
本当に真帝王が倒せるのだろうか、と…
「なあ、フェルグ。アイツを出し抜くにはどうしたらいいんだ?」
「ん?それなら、まずパワー差をなんとかしないと、君たちに勝ち目はないだろうから、キモはパワー差だよ。」
フェルグはそれだけ言うと、踵を返し帰ってしまった。
アドバイスというより、ただ真帝王、そしてブレデウルとのパワー差を思い知らされただけのような気がする。
「なあに暗い顔してんだよ、らしくないぞ。」
エリントがレイスの肩に手を置きながら言った。
「うん、ちょっとね。真帝王との力の差を思い知らされたような、そんな気がして。」
レイスは溜息を吐いた。
「大丈夫、恐るこたあない。だって、お前にはヒュレルがついてる。最終手段のアケラルフラッシュもあるこちだし。」
少し元気付けられたような気がした。
「でも、エリント、ブレデウルは、レイスの、その、あ、アケ、なんとかを使って、勝てる相手なの?」
「分からん、でも、勝てるだろ。もし無理でもレイスが使う前にオレらが頑張って体力を削っときゃ大丈夫だろ。」
「えっ?根拠なしなの?そんなの、信用できないよ!」
「はあん?オレが信用できねえってのかよ。」
エリントとミアは睨み合いを始めてしまった。
「ブレデウルと戦った時、私がいたから見逃してもらったんだよ?」
「それこそ根拠なしだろうが!たまたまだよ。た、ま、た、ま!」
「なら、レイスの傷が浅かったのもたまたまだって言うの?」
「そんなことは一言も言ってなえよ!キメツケ、ダメ、絶対!」
「なにそれ!ダサいよ?」
「んなっ!代々から伝わるジョークだろうが!」
「知らないよ!」
口喧嘩はまだ続きそうだ。
レイスは止めることも出来ずにただ呆然と見つめていた。
「てか、お前の光雑法はなんだ!弱すぎだよ!ほんとダメだな!」
「こっちだって言わせてもらうけどね。」
ミアは急に落ち着いたようになって言った。
ニヤリと笑っている。
「イビキがうるさい人に文句は言われたくないな!」
それが決定打だった。
「バッ、そ、それは関係ねえだろうがよ!」
エリントは顔を赤くし言った。
「あ、エリントが照れてる!」
ミアはクスクスと笑った。
レイスも釣られて笑うと、ものすごい形相で睨まれた。
次話↓
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㊗️記念すべき30話🎉!