オムニバス形式小説SHORTS 崩壊へのカウントダウン
SHORTS 2022春
今夜は...
『崩壊へのカウントダウン』
『NIGHT BLACK』
「何このおっさん...」
ゴゴゴゴッゴゴゴッ
『フォールスな副業』
キ、キターーーーー!
「誰ですか?」
『都市伝説』
マンション203...
『ピンクバレンタイン』
〜プロローグ〜
皆さん、こんばんは。
人間には、恐怖、笑い、怒り、感動といった感情があります。
そして、今夜投票トークにはなかったコメディ、ホラー、ブラックといったジャンルを今夜5話オムニバスで構成し、今までにはなかった小説を描きます。それでは、始まります。
『崩壊へのカウントダウン』
プロローグ
世界が滅びるなんてもっとすごいことだと思っていた。でも実際はそんなすごいものでもなかった。
あと数分後に・・・そんな非現実的なことも考えずに、渋谷の交差点を歩く人々は、いつもと何も変わらない。そこから1キロ以上離れている公園に立っている時計でさえ、いつもと変わらずに時を刻んでいる。
世界が滅びることを知っているのは、この世界的風船爆弾事件を起こしたのは破滅者の率いる組織団「魔虎」と僕だ。
なぜ、僕が知っているのかは、僕の人生を話してくうちにわかるはずだ。僕がこうなった理由も。
第1章
僕が自分の人生を初めて不幸だと思ったのは、6歳の誕生日だった。
秋だというのに40度を超えるという猛暑日で、大地とその上に立つ生物を燃やし尽くさんとばかりに太陽は輝いていた。
しかし、確かに異常な暑さを感じたが、僕を焼き切ることはできなかった。
本当は、その日の太陽に焼かれた方がよかったかも知れない。
その日から僕の人生の崩壊はじわじわと始まった。
いや、本当はもっと前から始まっていたのかもしれない。
僕の人生は「あるもの」を取り除いて考えたら極平凡な人生だ。
学校でいじめられている訳でもなく、親に虐待されている訳でもない。
週刊「少年コガジン」の発売日、明日の給食の献立、放課後の遊ぶ約束といったささやかな楽しみを探しながら、これからもずっと変わらない日常を送れると思っていた。
あんなものさえ見つけなければ・・・。
1996年 9月 16日
「駿斗誕生日おめでとう」
教室の扉を開けると彰の声がとんできた。
そうか、今日は誕生日か。
別に忘れていたわけではないが、あらためて思い出す。
「ありがとう」と返しておく。彰とは幼稚園からの友達で比較的仲が良い。何かあったらすぐに気にかけてくれるいい友達だ。
そんなことを考えてると、
「誕生日おめでとー駿斗!」
「お誕生日おめでとう!駿斗君」
クラスの人達から祝いの言葉をかけられていた。
「なぁなぁ、みんな「誕生日おめでとう」とか言ってるけど、駿斗に誕生日プレゼントないのか?」
ふと、クラスの男子がそうつぶやいた。山川だ。
別に、僕はそんなプレゼントとかを望んでいたわけではないが、その瞬間さっきまでにぎやかだった教室に沈黙がおりた。
もともと小学校にはプレゼントを持ってきてはいけないのだから、ただのクラスメイトでしかない僕の誕生日に規則を破ってまでプレゼントを持ってくる人は、いないだろう。
なのに、山川はまるでその空気を待っていたかのように口を開いた。
「俺はあるんだ。プレゼント。」
その瞬間、沈黙に包まれていた教室はざわめきだした。
しばらくして、一人の女の子が口を開く。
「何・・・を持ってきたの?」
堰を切ったように他の子も口を開く。
「えっ!何を持ってきたの⁇」
「何を持ってきたんだ!山川‼」
「どんなプレゼントなの?」
質問攻めに遭っている本人は落ちついた様子で、
「一旦、落ち着けって。俺はプレゼントはあるが持ってきたわけではない。」
「じゃあプレゼントはどこにってなるよな。心配すんな!」
誰も心配していないのに一人で納得している。
「プレゼントは、何と・・何と・・『楽園の館』だ!」
「楽園・・・の・・館・?」
思わず声が漏れてしまった。
「何、その館?」
「楽園の館~?聞いたこともねぇぞそんな館」
「当たり前だ!この俺様が見つけたんだからな。」
「で、その館をプレゼントするの?」
誰かの問いに対し山川は、
「ちっちっち。楽園の館は俺の館だからあげるわけにはいかない。だが!特別にクラス全員に楽園の館の見物資格を与えよう。」
クラス全員って僕のプレゼントではなくない?っと思ったもの、その時は気にも留めなかった。
山川の真意なんて。
あの時、「楽園の館」にさえ行かなけば、こんなことにはならなかったのに。
続く SHORTS
この世界的風船爆弾事件を起こした世界のは
って、事件を起こしたのは で「世界」はいらないのでは?
あと、魔虎って何て読む?