[小説]夏色 第三話「新しい家族」
一話:https://tohyotalk.com/question/302835
二話:https://tohyotalk.com/question/303046
母はゆっくりと少しづつ話していった。
何故新しい家族が増えたのかを
元々、海空の実の父に当たる人物は三年前に病気で他界していた。母はそれを真に受けてかなりショックを受けていた。しかしそんな中でも海空の事を育てていた母はやはりすごいのだろう。
するとしばらくしてから母は働きに出た。母は良い大学を出ており成績も優秀な過去を持っていた、なので職に就くのもそう難しい訳ではなく有名な大手の会社に勤めることができた。
それにより海空は一人でいる時間の方が多くなってきた。母は夜遅くまで仕事だったため家になかなか帰ってくることはなく、その間は近所に住む仲が良い高校生の子に面倒を見てもらっていたのだ。
母は会社でも優秀な実績を残し、後輩からも慕われており社長も母に期待していた。
そんな中、母はとある男性と良い関係を築いていた、その人が今の海空の義父にあたる。
互いにパートナーを亡くしており話も合っていたことから互いに恋に落ちていった・・・そうして結婚することになったそうだ。
しかし様々な事情で式は挙げないとのこと。しかしもう身内には知らせているそうだ。
少しずつでもいいから新しい家族というのを認めていってほしい慣れて欲しい、そう母は言った。
海空は真剣にその話を聞き、頷いた。
翌日・・・
アラームの音で目が覚めて渋々ベッドからおり、制服に袖を通した。
一階に下りてリビングに入ると部屋いっぱいにバターの美味しそうな匂いが漂っていた。
朝食のバタートーストが皿の上に置いており、ココアも湯気を立てていた。
「おはよう海空」
コーヒーを啜りながら凪が言う。
「お、おはよう。お母さんたちは?」
「出勤。あ、今日から俺、海空の学校に転入するから」
どうやら兄はこれから私の先輩にあたるらしい。
「俺はちょっと早めに出るけど・・・海空は?」
「え?私?別にいつでも・・・」
「そっか、じゃあ俺先に出るわ」
流石に一人は寂しいから一緒に来てほしかった何て言えない。
その言葉はのどに突っかかって結局凪に届くことはなかった・・・
ガチャ
「行ってきます」
凪がそういって家を出て行った。
「私も出るかぁ・・・行ってきまーす・・・」
ガチャ
「あっ!海空じゃん!」
続く