【プロセカ小説】#3 距離近めの一歌と奏

3 2022/07/23 17:04

pixivに投稿したものです。キャラ崩壊注意。

ーフェニランー

一歌side

「ううっ...悔しい」

拳を握り締めながら、志歩が声をあげる。

どうやら、今日は、限定ファニーくんの発売日だったらしい。昨日、いつにも増して真剣な顔をした志歩が「一歌、お願いがあるんだけど」なんて言うから、なんだろうと思ったら、明日一緒にフェニランに行って欲しいという頼みだった。

特に予定もなかったからOKしたけど、発売日にすら買えないとなると、悔しい気持ちも分かる。昼休みに、ダッシュで購買に向かっても焼きそばパンが売り切れてた時と同じ気持ちだよね。すごく分かる。

「午前は練習の約束だったし仕方ないけど...まだ午後の1時なのに既にないなんて...甘く見てた」

「そうだね...。再販売とかはないの?」

「正直、分からない。今までの限定ファニーくんは、再販売されたものもあったし、されなかったものもあったから」

「そっか...確率は五分五分って感じなんだね...」

「そ...。あーーっやっぱり悔しい...!」

「志歩...」

「「あーーーもうっ!!」」

「...ん?」

「あ、あれって...!」

ー・ー・ー

「絵名さん!」

「え、一歌ちゃん?」

「この前は、スパジョイパークでありがとうございました!」

「いえいえ、私も楽しかったし、一歌ちゃんが楽しんでくれたならよかったよ。...えっと」

「一歌!...あ、どうも」

「一歌ちゃんの友達?」

「はい!一緒にバンドをやってて...」

「ああ、あの時言ってた...!初めまして、東雲絵名です」

「日野森志歩です。えっと...この前は一歌がお世話になったみたいで...」

「いやいや!むしろ一歌ちゃんがいてくれて助かったんだよ?ストラックアウトも、一歌ちゃんがいなかったら賞品もらえてないだろうしさ。奏も楽しそうだったしね」

「あ、奏さん...。奏さんは、今日は一緒じゃないんですか?」

「いたんだけど...。実は私、限定ファニーくんを買いに来たんだけど、ウォーキングついでに奏も一緒に行きたいって言い出してね。でも、今はぐれちゃってて...」

...!

「...!絵名さんも、ファニーくん買いに来たんですか?」

「うん。...まあ、買えなかったけどね...」

「実は、私もで...」

「そっか...再販あるか分かんないしね...」

「っ!詳しいんですね...!ひょっとして、ファニーくんファンだったり...」

「あーー...そうなような、そうじゃないような...」

「良ければ、少しお話しできませんか?ファニーくんについてお話しできる人が欲しくて...!」

「あ、うん。それは全然良いよ。私が部屋に飾ってるファニーくんの写真とか見る?」

「はい!よろしくお願いします...!...って」

「どうかした?」

「一歌がいない...」

「あれ、本当だ。どうしたんだろう...?あ、話す前に奏...えっと、一緒に来てる友達、探してもいいかな?」

「そうですね。私も一緒に探します。一歌も探さないとだし」

「だね。じゃあ、行こっか!」

ー・ー・ー

...チャンス、チャンスチャンスチャンス!!

最近奏さんと会えてなかったけど、絵名さんとはぐれてる今なら...!

あ、いた!

「奏さん!」

「星乃さん?...って、ちょっと、え...!?」

ギュッ

「奏さん...!会えて嬉しいです!」

「うん、私も嬉しい、けど...」

...あっ

嬉しすぎて、勢いで抱きついちゃった...

冷静になってくると、周りが静かなのが分かる。

目立っちゃってるな...どうしよう...

「...お姉ちゃん」

え?

「寂しかったよ、うう...お姉ちゃん...!」

え?え?

これって...。あ、

「うん、見つかってよかった...行くよ、ほら」

「うん...」

周りから声が聞こえてくる。

「なんだ、姉妹か。びっくりした...」

「迷子だったのか。よく見たら、髪の長さとか、似てるもんな」

咄嗟の奏さんの判断のおかげで助かった...。

「星乃さん、とりあえずあっちの物陰に行こう」

奏さんが小声で言う。

「あ、そうですね。行きましょうか」

ー・ー・ー

ふう、助かった...。

「うまくいくか分からなかったけど、成功してよかった...」

「はい...!それに、妹のふりをしてくれた奏さん、すごく...可愛かった...!」

「そ、そう?なんだか恥ずかしいな...」

ふふ。しかも、奏さんのほうが年上なのに、奏さんが選んだのは妹だった...。どうしよう、可愛すぎる。

...ふと下に目を向けると、そこには姉妹のふりをして勢いで繋いだ奏さんの手がある。現在進行形で、繋いでる。

...奏さんの手、モチモチ。それに、あったかい...。

「あの、もう話そうか...?」

「嫌です」

「...そっか」

奏さんが目を閉じる。

「星乃さんが良いなら...私も、ずっと繋いでいたいな」

ー・ー・ー

奏side

「奏さん」

手を繋いでしばらくした頃...星乃さんの声が聞こえた。

って、私、ひょっとして寝ちゃってた...?視界が横に傾いてる。ていうか、私今どこに寝てるの...?

「すみません。膝枕しちゃって」

「やっぱりそうだよね...」

「奏さんが、あまりに眠そうだったので、つい」

「そっか...。でも、ありがとう」

「え?」

「地面で寝るよりも、壁にもたれかかるよりも、楽な体勢でいられたから。...ここで寝られて、嬉しい」

「...!」

ふふ。

「ダメだ、まだ眠い。星乃さん、もう少しここでこのまま、寝ても良いかな?」

嘘だけど。もう眠くないけど。

「...良いですよ。でも一つ、条件があります」

「条件?」

「...もう一度、妹のふりをしてください」

...。

「恥ずかしいよ...」

「してくれないと、奏さんのこと、地面に落としちゃいますよ」

「それは困る」

...星乃さんの膝で寝られるなら、安いものかな。

「ふわぁ...お姉ちゃん、眠たいよ...」

「ふふ。それじゃあ、お姉ちゃんの膝の上で、寝ると良いよ」

「うん、ありがとう...」

あ、あくびが...

「...おねえひゃん」

「...っ!」

「あ...」

「...ずるいですよ、奏さん」

「...」

「...おやすみなさい」

星乃さん、照れちゃったかな...

でも、これだけやれば、きっと満足だよね。

次は、私の番。せっかくだし、もう一睡...。

「...ん?」

視界の奥に、何か見える。

...あれって...

...あれって!?

「奏?」

「...一歌?」

「「...!?」」

...このあと、絵名はわたしに膝枕を求めてきたり...。

まふゆがそれを見て嫉妬してたら、瑞希には少し引かれたり。

星乃さんのほうは、バンドメンバーの子の練習の調子が悪くなったり、望月さんの顔が赤くなったり。

...いろいろてんやわんやあったのだった。

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タグ: プロセカ小説 #3距離 一歌

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アニメとゲーム2022/07/23 17:04:14 [通報] [非表示] フォローする
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