混ぜるな危険について

洗剤には、塩酸（HCl）を主成分とする「酸性洗剤」と、次亜塩素酸（HClO）を主成分とする「塩素系漂白剤」があります（もちろん他にもあります）。この2つの洗剤を混ぜると塩酸が酸化、次亜塩素酸が還元されて塩素ガス（Cl2）が発生します。塩素ガスは有毒の気体で、吸うと呼吸困難になり、最悪の場合取り返しのつかない事態になります。面白半分で混ぜるのはやめましょう。

酸化還元についてもう少し詳しく説明します。

塩酸は水溶液中で水素イオン（オキソニウムイオン）と塩化物イオンに電離しています。次亜塩素酸は水素イオンと次亜塩素酸イオンに電離していますが、電気陰性度の関係で酸素原子のまわりには多くの電子が集まっているのに対して塩素原子のまわりには電子が少ない状態になっています。塩化物イオンは塩素原子単体よりも電子を多く持っているので、次亜塩素酸イオン中の塩素原子と強く引き合います。それによって形成された塩素分子は安定しているので逆反応は起こりません（実際には起こっていますが、正反応に比べて速度が非常に小さいのです）。この連鎖により次々と塩素ガスが発生してしますのです。