兄貴はよく変なおじさんに絡まれる 第一話
プロローグ
「ご主人様♡愛してますわよ♡」
「……」
「何か言ったらどうなんです?ご主人様♡」
「なにしてんの……?兄貴……」
第一話
ピピピッ
「ん~、もう朝か~」
今日は、土曜日で兄貴の文化祭だ。
「っし!行ってくるね欄!」
朝早く兄貴が家を出た。僕の名前は、立花 欄。 中学二年生だ。
因みに兄貴の名前は、立花 鈴。高三。
「昼になったら、文化祭行こ」
僕は朝食を食べながら、そう言った。
─「そろそろ行こー」
僕は、家を出た。兄貴が通う、『成川高等学校』略して『成校』は、毎回文化祭が盛大だ。
風船や造花で校内が飾り付けされていて、校内だけではなく校舎の外まで屋台が出ている。
「ここか……」
僕は成校に着き、真っ先に兄貴の出す店へ向かった。
兄貴の出す店は、“コスプレカフェ”だった。
「いらっしゃいませー」
猫耳を着けた女の人が僕を席まで案内してくれた。
その人はメニューを置くと他の店員さんに呼ばれ、どこかへ行ってしまった。
僕は兄貴を探した。
コスプレをしている店員さん達を見ていると、メイド服を着た女の人がこっちに向かって歩いてきた。
すると、僕の前で止まりこう言った。
「ご注文はお決まりですか?ご主人様♡」
内心ご主人様!?とは思ったが、そういう設定なんだろうとおもい、呑み込んだ。
「ああ~、じゃあオムライス一つ」
僕はメイド服の店員さんに、オムライスを一つ頼んだ。
でも、その店員さんは注文を訊いただけで、動こうとしない。
するといきなり、こんなことを言ってきた。
「ご主人様♡愛してますわよ♡」
さすがにおかしいと思った。設定だとしても、仕事をせずにそんなことを言うはずがない。
「……」
顔もふつーに可愛いし。でも、声はちょっと低いかも…?
「何か言ったらどうなんです?ご主人様♡」
僕は気付いた。
「なにしてんの…?兄貴…」
そう、メイド服を着た店員さんは兄貴だったのだ。