0,0の昔
しまむらーしまちゃん
樽見ーたる
二人は幼稚園の時一番仲が良かった
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「ねんどすき?」
「え?」
「コネこねねんど!」
「す、すきかな、あ、でもね、つめにねんどはいるのはすきじゃない」
「つめはちゃんときってきなさい」
しまちゃんにそうやっていつも注意されたのはよく覚えている。
「な、なんだおまえー」
「しまちゃんですが。」
「ほえ?」
「じゃあしまちゃんとあーそーびーまーしょ!」
幼稚園でねんちゅうになった時
「しまむらちゃんて変かな」
「みんなしまちゃんってよんでるぜい」
「ふーん、でもたるは違うのでよんじゃう」
「ほほーんやってみなさい」
「みょうじがほうげつだからー」
「うんうんうん」
「ほーちゃん!」
「、、、なんかノビーっとしてる。」
「ぼーっとしてるし丁度よくない?」
「よかねぇ」
不満そうなしまちゃんの顔は今でも忘れない。
「ま、しまちゃんでいっか。」
「そうしなさい」
「なんでちょっと上からめせん?なの」
「気にしない気にしない」
「んー」
「しまちゃんは犬と猫どっちが好き?」
「ふふふ、では真似するから当ててみて。いきます、んなーぅ」
「え、、猫?」
「んなーぅわかんない?」
「ワッツ?」
「しまちゃん、大変だー、うちゅうじんが攻めてくるらしいよ」
「な に ー」
「テレビで言ってた」
「うむ、うむむむ」
「うちゅうじんは何がほしいのかな」
「んーおかし!」
「それしまちゃん星人じゃん」
「なんだーたる星人めー!」
いっぱい話して、しまちゃんと仲良くなった。
「しまちゃん、友達いっぱいいるよね。」
「うん、みんな仲良しだよー」
「そっかー」
「たるちゃんともだぜ」
「それは知ってる」
「私、友達しまちゃんくらいだからちょっと羨ましいな、、、、、。」
「わたしの友達はたるちゃんとも友達だよ?」
「そうはいかないのさ」
「なジェ?」
「しまちゃんにはちょっと難しいかな」
「なんだきみは。せのびをするのはやめなさい」
そうだよ、しまちゃんの方がすごい人なのに
、、、ごめんね
「へへー実はしまちゃんよりちょっと背高い」
明るい
元気で
みんなに優しいしまちゃんだから
友達がおおいんだよ
「じゃあ二人で身長伸びていけばいっか」
「うん、私ねしまちゃんのそーゆーとこ好きだな」
「そうだろうそうだろうははは
わかってる?
「しまちゃんんとクラスが」
「しまちゃんちょっと待って」
「ねぇねぇしまちゃん」
「しまちゃん!!!!!!」
ーーー樽見side
教室で授業を聞き流しながら、夢のように記憶が浮かぶ。
泡のように浮かぶそれは教室の天井に当たっても割れることがなくて。
いつまでも私の中で残り続けて、どこまでも泡が増え続ける。
もう、やめよう。
誰にも聞こえないようそう、言い聞かせる。
授業が終わって帰る用意をしていると母から電話がかかってきた。
「うん、帰りに寄って行くよ、大丈夫、他の買い物もやっとくから」
母からの言いつけで放課後の寄り道が決まる。
家のことは私が半分くらい担当している。
そういう家であるというだけで特別不満もない。
母とのつながりで”あの子”の話は時々伝わってくる。
近頃よく”あのこ”のことをよく思い出す。
会いに行こうとするのは簡単なのに。
お互い家を知っているのだから。
でも遠いのだ。
心の距離が、きっと遠い。
どっちが離れてしまったのだろう?
、、、、
どっちから動けば、距離は近くなる?
母からの話だけで、あの子が今どんな顔をしているかもわからない。
すれ違って、あの子だってすぐわかる自信もない。
それに。
私のこと自体覚えてないかもしれない。
”あの子”は柔らかく、弾けて飛んで、どこまでも遠くへ、遠くへ飛んでいってしまう。
昔はよく手を繋いでいて一緒に飛んで行けた。
でも、その手が離れてしまって、あの子は戻ってこなかった。
私も追いかけなかった。
どっちもどっちなのだ。
中学校に進学するとき、周りもだんだん慌ただしくて、
つい、見失って。
「つい、だけでかぁ」
その”つい”してしまったことへの後悔は薄れたり、波のように押しよされたり、忙しい。
親しかった頃は何度もすれ違ったのに、疎遠になると街を歩いても不思議と出会わなかったりする。
本当にフシギなものだ。
”あの子”は
あの子は
しまちゃんは。
私にとって大切な存在だった。
その”大切”は今どこにいるんだろう。
と考える。
もし会えたら、また他愛のない話ができるだろうか。
あの笑顔で”またね”と言い合って手を振れるだろうか。
『心や意識のあり方で人との距離や出会いを自然と作る』
そう誰かが言っていた。
もしそうなら、またあえるだろうか。
少なくとも、私は少しその言葉に期待をしていた。
私は青空に音もなく浮かぶ月を見上げるように、思いがけないものを探す。
あの子を。
しまちゃんを。
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