どうやったら地球が黄色に見えるのか

4 2023/12/17 14:05

あるとーと民のプロフに触発されてどうやったら地球が黄色く見えるのか調べてみました。水は波長470nm(nm=ナノメートル=10万分の1ミリ)付近の光(青色の光)を強く反射する(吸収しない)ので、普通に見たら地球は青く見えます。これを黄色と認識させるには、分光器を使って黄色付近の光だけを抽出したり、地球を黄色のセロハン越しに見たり、地球を黄色く塗ったりするなど色々方法がありますが、ここでは赤方偏移を利用します。赤方偏移とは、簡単に言えばドップラー効果(救急車が通り過ぎるとサイレンの音が低くなるアレ)の光バージョンです。音源から遠ざかると観測者に対する音の波長が大きくなって音が低く聞こえるのと同じように、光源から遠ざかると観測者に対する光の波長が大きくなって元の色よりも赤みがかって見えます。どのくらい波長が大きくなるのかは次の式で求めることができます。

観測者が光源から遠ざかる場合:λ/λ₀=1+(v/(c-v))…①

光源が観測者から遠ざかる場合:λ/λ₀=1+(v/c)…②

λは観測者に対する相対的な波長[m]、λ₀は光源の波長[m]、cは光速(光の速さ)[m/s]、vは観測者や光源の速度[m/s]です。これを使って波長470nmの光を波長570nmの光(黄色の光)として観測するために必要な速度を観測者が動く場合と光源が動く場合に分けて求めていきます。まず観測者が動く場合について、λ=570×10⁻⁹m, λ₀=470×10⁻⁹mを①の式に代入してvの値を求めると、

v=10c/57≒0.18c

となります。ロケットに乗って光速の18%の速さ(秒速約54000km)で地球から飛び出していけば地球が黄色く見えることが分かりました。

光源が遠ざかる場合も見てみましょう。λ=570×10⁻⁹m, λ₀=470×10⁻⁹mを②の式に代入してvの値を求めると、

v=10c/47≒0.21c

となります。しかし地球に光速の21%の速さで離れて行ってもらうのは簡単ではないので、ここで宇宙膨張の力を借りましょう。宇宙は時間とともに膨張するので、天体間の距離もそれに伴って大きくなります。すなわち時間が経つにつれてあらゆる天体が地球から離れていってるということです。地球以外の天体から見れば地球が離れていってることになります。どのくらいの速さで離れていくのかは下の式で求めることができます。

v/L=67.36

vは天体の遠ざかる速さ[km/s]、Lは観測者からの距離[Mpc]です。単位のMpcは「メガパーセク」と読み、1Mpc≒326万光年です。1光年は光が1年で進む距離で、およそ9兆5000億kmです。326万光年は光が326万年かけて進む距離を表します。v=0.21c[km/s], c=299792458m/sを代入してLの値を求めると、

L=21c/6736[Mpc]

=934.6261309Mpc

≒30億光年

となります。すなわち地球から30億光年離れた天体に我々が移住して、そこから地球を観測すると黄色く見えるということになります。もし30億光年先に宇宙人がいて、彼らが望遠鏡で地球を観測していたら、それはきっと黄色に見えているでしょうね。

【参考文献】

http://www.techno-synergy.co.jp/nkd_appli/ex-DF450.html(水による光の吸収について)

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