恐怖の夢【永遠の館】
2024年5月5日、俺はいつものように昼寝をしていた。
「スースー……グゥ……」
寝息をたてながら夢の世界に行くとまず俺の目の前に見えたのは工事中のトンネルであった。
俺は作業服を着ながら上司?の指示に従ってトンネルをツルハシで他の2人の少年と共に掘り進めていく。
コツコツ、コツコツと少しずつ掘り進めていったがこの時点で時間感覚がおかしくなっていて、数分で掘り終えたようにも、何年、何十年も掘り続けたようにも感じた。
「うわあ‼︎」
突然、少年Aが驚いた。
「どうした⁈」
少年Bが尋ねると少年Aは驚いた様子で俺と少年Bを急かした。
「お前ら、早くこっちに来いよ!」
首を傾げながら少年Bと共に小走りで少年Aのもとへ行くと、そこには小さな穴が空いていてその向こうには小さな温泉旅館が建っていた。
「これ、おかしいよ。」
俺は疑問に思い、少年Aに問う。
「どういう事なんだ?」
少年Aは地図を取り出して
「この地図にはこの地域にあんな温泉旅館なんてない。」
と断言する。
しかし少年Bはすかさず指摘する。
「その地図が古いか俺たちが掘り進める距離とか方向を間違えたんじゃないのか?」
少年はそれはあり得ないと言う。
「この地図は上司からもらった地図だ。間違ってるはずがない。それに方角も距離も上司の言う通りに掘ってきたじゃないか。」
少年Bは怖がった様子で質問する。
「え?じゃ、じゃあ、あの旅館は何?」
「分からん」と少年A
「とりあえず戻るか?」
と俺が振り返ると掘ってきたトンネルは硬い岩盤で閉ざされており、傷一つつける事も出来なかった。
少年Aは腹を括ったようで
「行くしかないようだな……」と言い、
少年Bは
「ええ……絶対嫌だよ、俺。」と怖がっている。
俺は不思議な高揚感と恐怖心に包まれていた。
こう見えてもお化け屋敷などは大丈夫な部類である。
旅館に近づくと美味しそうな匂いがしていて腹が減ってきた。
中を覗いてみると、老若男女が座布団の上で寝ていたり、ゲームをしたり、飯を食べたりしていた。
「ごめんくださーい……」
少年Aが声をかける。
それに反応したのかおばさんがボタンを押すと、旅館の門が開き若女将の姿をしたロボットが現れ、俺たちを案内した。
常識外れの光景と旅館にある温かみがないのが恐ろしいと思った。
しかし、案内された後、座布団に座ると優越感と満足感に襲われ『何かをする』気力がなくなっていく。
「もう何もしなくていいや」
とらしくない事を言う少年A
ダメだろ!という思いとそうだよな。という思いがぶつかる。
「もうずっとこのままでいいんじゃないか」
と少年Bも言い俺も
「そっか……そうだよな。」
と納得してしまった。
ああ俺幸せだなぁ……。
……どのくらいたっただろう。
その幸せは『永遠』のようにも『刹那』のようにも感じた。
俺はトンネルを掘っていたはずだった。幸せってなんだ?そもそもこれは夢だったんじゃないのか?様々な考えが巡る。
そして俺は結論に至った。この幸せは偽物でこの世界は夢であると。ならばこんなにも恐ろしい夢から醒めればいいじゃないかと。
不思議な事に夢を見ている間は基本的にこれは夢であると自覚していない。
目覚めると過呼吸になっていて辛かった。
どうやってこの館と世界を脱出したのかは記憶になかったが、俺は殺されそうになる夢を見ると過呼吸になるので恐ろしい事態になったのは確実であった。
「とりあえずチャーハン食うか……。」
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