【小説総選挙】誰にも伝わらない世界線。『 月兎 』
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うさぎは月を見たことがなかった。
自分が住んでいるこの星の名前が「月」だと言うことも、自分達の名前が「うさぎ」だと言うことも知らなかった。
月にはうさぎがいて、美味しい餅をついていて。
うさぎは、うさぎに会いたかった。
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「…いや、よくわかんない」
「なんで分かんないの。馬鹿じゃん」
「人に馬鹿って言うとか最低」
「事実じゃんね」
「君の方がテストの点数低いからね」
「うるさいテストの話すんな」
君は本当に何が分からないのか分からない、と言った様子で首を捻る。
「だって、僕たちは自分が「人間」ってこともわかるし、自分の住んでるこの星が「地球」って言うことも知ってるよ。なんでうさぎはそれが分からなかったの?」
「うわめんどくさ。知らないようさぎが馬鹿だったんじゃないの」
「だから馬鹿とか言わない」
「人じゃないじゃん」
「でも駄目」
君は口を尖らせる。
渋々といった様子で頷いてはくれたものの、多分数分後には忘れているんだろう。
「じゃあなんか資料とかは無かったの?あまりに自分達に似てたら気づくでしょ」
「知らないってば。てかあったとして誰が書いたのさ」
それに、と君は口を開く。
「それに、月には鏡がないんだ」
「何で?」
「アリスが持っていっちゃったから」
「…アリス?白兎の話をしてるの?」
だとしたら、白兎が持っているのは時計で、鏡じゃない。
「違うよ、白兎が持っていったんじゃなくて、アリスが持っていったんだ」
「だから何で」
「逆に何で、そんなに理由を知りたいの」
「原理がわからないとモヤモヤするんだよ」
「原理なんていつまで経っても見つからないままだよ」
「そう言うことを言ってるんじゃない」
どうやって花は咲くの。種があって、水と太陽に育てられるんだよ。じゃあどうやって水はできたの。水蒸気って言う小さな粒が集まって_。じゃあどうやって水蒸気はできたの。
確かにそれを繰り返せばいつまで経っても見つからない。
だけど確かに全てに答えはあって、僕は最初の一つが知れればそれで満足できる。
「…うさぎはずっと1人だったんだよ、きっと」
「1人?」
「仲間なんていなくて、それで仲間のいる月に行きたくて、仲間と生きたくて。きっと、アリスが助けてくれたんだ。」
そんな意味の分からない理由で納得なんて出来ない。
そう言おうと思ったけど、君が真上で光輝く満月を何故か寂しそうに見つめるから。
だから口を開くことができなかった。
「意味なんて分からなくて良いんだ。うさぎが救われて、2人は幸せで。そんなハッピーエンドのままでいいの。」
「月兎は月を捨ててアリスを取った。月兎は白兎になったんだよ。」
「あと1日。あと少しだけ、あともう少し。時計を見て、そんなことを毎日思ってるんだきっと。」
「月に帰らなきゃいけないことも、きっとうさぎは分かってて。」
「でも、それでもうさぎばアリスと生きるって決めたんだから、私達はそれを邪魔しちゃ駄目だ」
「…月に隠れた2人を、探しちゃ駄目なんだよ」
じゃあなんで君はそんな顔をしているんだろう。
彼女が向ける視線は、綺麗だと見惚れているようでもなく、空を睨みつけているようでもない。
彼女は、月を見上げて探し物をしている。
そんな視線を、空に向けていた。
彼女の瞳から涙が流れたと同時に、ひとつ星が流れた。
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うさぎは月を見たことがなかった。
大好きなあの子が住んでいるあの星が「地球」だと言うことも、大好きなあの子が「にんげん」と言うことも知っていたのに。
地球にもうさぎが居て、2人は幸せそうに笑っている。
うさぎは、うさぎが嫌いであった。
うさぎは、うさぎに会いたかった。
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誰にも伝わらない世界線。と題して小説を書いてみましたっ
https://uranai.nosv.org/u.php/novel/usagi0311/?w=1
占ツクで『誰にも伝わらない世界線。集』も執筆中なので良ければこちらも!!
うさぎのお話を何気に書いたことなかったから楽しかったですଘ₍♡̷ᐢ⸝⸝•༝•⸝⸝ᐢ₎੭̸‧˚
歌い手二次創作の小説も占ツクで書いてるんですが……なんかここで公開すんの卑怯では!?と思ったので(?)
教えて欲しい!って方いたらぜひコメントください(*゚▽゚*)
文才ないタイプのうさぎで駄作極まりないけれど!!
単話なので思いついたらちょこちょこ立候補したいと思います🥺
道徳とかと同じで正解はないので考察待ってます……💪🥺💪
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>>10
どうやって花は咲くの。種があって、水と太陽に育てられるんだよ。じゃあどうやって水はできたの。水蒸気って言う小さな粒が集まって_。じゃあどうやって水蒸気はできたの。確かにそれを繰り返せばいつまで経っても見つからない。だけど確かに全てに答えはあって、僕は最初の一つが知れればそれで満足できる。
→重力定数とか光速度不変の原理とか相対性理論とか量子力学とかに最終的に辿り着いちゃうなww
「…月に隠れた2人を、探しちゃ駄目なんだよ」
→前の文脈的にうさぎとアリスの事っぽいが……アリスと白兎は月から鏡を持ってたはず。(どこにとは書いてない。)
君が真上で光輝く満月を何故か寂しそうに見つめる。
彼女は、月を見上げて探し物をしている。
彼女の瞳から涙が流れたと同時に、ひとつ星が流れた。
この3つの描写とさっきの発言から本当は探してはいけないが探したい。その葛藤から悲しみを感じているのかな。この「彼女」はアリスや白兎と関係がありそうである。
主人公的には月兎の考えが理解できないっぽいな。あと、「彼女」は主人公を誘導して論点ずらして質問を有耶無耶にしたな。なんか裏の意図がありそう。
というのは分かった。
やはり君は天才だったか、、、
うさぎのお話を書いたということははむすたーのも書いてくれるということ!?
楽しみにしてるね😊😊😊
アリスが持って行った=アリスはもういないと解釈できるが
隠れた二人という事はまだうさぎとアリスは一緒にいる
そしてアリスが人間である事も示唆されている
アリスは遠くに離れていない
うさぎの鏡を持って行った
うさぎにとっての「鏡」は自分であり知能だったのかもしれない
鏡は自分を映してくれる
つまり鏡を通さねば自分自身が見えない
仮に見えない=会えないだったら自分に会ってみたいという文章にも説明がつく
この世界のうさぎは人間の様に脳が発達していたのかもしれない
だからこそ一羽と一人ではなく二人と表現されたのであれば納得も行くだろう
そして鏡という知能を奪われ、自分自身の事も自分が住んでいるところも何一つ分からなくなって人程の知能を持てなくなった