小説 / うつわ ※内容重め注意 ※フィクション
灰谷 間は、「あの出来事」を境に痛覚が消えた。
僕はもう、2か月も隔離病棟に入院している。
入院直前・直後の記憶はほとんどない。聞いた話によると、ODで倒れていただとか、とにかく自殺しそうになってたらしい。なんでそんなことになっていたのかは知らないけど。
詳細な記憶がなくても、気分が重いのは変わらないから。
薄暗くて重い朝、担当のれお先生が部屋に入ってきた。
この人は、俺の記憶がなくなったこと、突然痛みを感じなくなったことの原因を調べる人。そのうち自殺の理由も聞かれるんだろう。記憶があってもなくても、そういうのを話すのは勇気がいる。いつか聞かれると思うと、顔を見るたびに胸を絞られる。
考え込んでいる僕のことなど気にせず、話しかける先生。
「おはよーう、灰谷。今日は体調どうかな???」
「ぁ…れお先生、……えと、頭痛い…です」
「痛みは?戻った?」
「痛み…」
そうつぶやくなり、僕は自分の腕を引っ掻いた。
「戻って、ないです」
(僕は戻らなくてもいいけどね、誰も困んないし…)
先生がびっくりして固まる。
「……。はいたにいいいい!!!!俺がそう聞くたび引っ掻くのヤメロって!!!!!」
突然騒ぎ出す先生に驚く。騒ぎ具合に引く…
「えぇ…うるさ………だいたい、変化は刺激を与えないと分かんないでしょ。なくなってるのは痛覚だけなんだから」
「てか『それでも』精神科の先生なんでしょ。うるさくするのってどうなの」
僕のパンチに先生は固まってしまい、小さく早口で「はい、すみませんでした」と謝る。
そしてぽりぽり頭をかいて、「俺は先生じゃないからなー…」と寂しそうに言う。
僕はその言葉を、「先生として立派じゃない」と言う意味なのだと思って聞き流した。
ため息をついて、目線を下にやる。おもむろに、さっき引っ掻いた腕が目に入った。
左腕についている痛々しい傷跡。それらを見つめて、考え込む。
(僕は何が苦しくてこんな事をしたんだろう。誰かにやられた?だからショックで記憶がないとか。いや違う、もっとトラウマ級の出来事があったとか。それとも、)
「僕は自分が、嫌いだった?許せない何かがあった?逆に生きたくて自傷を繰り返していた?自分のことなのに…分かんない、情けない」
「難しくは考えなくていいんじゃないかな。これから回復に向かうたび、きっと今みたいに苦しくなるだけだから。『もう少し』だよ、がんばれ。」
そういうと、「おやすみ」と声をかけた。その声とともに、僕は意識が落ちた。
ガチャッ。ドアのあく音だ。
「お話はすみましたか?れお先生。いや、彼が眠ったからもう先生ではないのか。『レオ』、実験は進んでいるか?」
「うん、アミの薬のおかげでね。全部が順調なんだ。まだやることはあるけど、灰谷は少しずつ慣れてきたから。」
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読んでくれてありがとうございます。文章がおかしかったり、「ここのこの文章いる…?」みたいなところがあると思いますが、許していただきたいです。今回は続編があるっぽい感じで終わらせてみたのですが、そういう話を書いた時は大体飽きるか、オチに困って投げやりになって面白くなくなるか、めんどくさくなってやめるかのどれかになっていました。小説を書く上で、そういうのはちょっとやばいんじゃないかなと思い、克服しようとしていたところ、小説総選挙の話が!!!👏🏻総選挙に出してもいいなと思いましたが、出すの初だし勇気いるな…という感じ。でもせっかくの続編嫌い克服のチャンスだし、知名度も上がるチャンスだと思い、10位以内入ったら続編かくことにしました。そんなみんなに刺さるストーリーかも分からないのに強気ですみません!!!笑 コメント待ってます。
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